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2005/06/05

サラ金の保証人にさせられる障害者

昨年の平成16年 7月21日に福岡高裁で面白い判決が言い渡されました。原告(被控訴人)はアイフル、被告(控訴人)は軽度の知的障害者です。

福岡高裁は、サラ金の保証契約に基づく支払請求に対して、被告に意思能力がなかったとして原告の請求を棄却しています。第一審の佐賀地裁は逆に、意思能力があったとして原告の請求を認容。療育手帳を有する知的障害者の契約締結能力について判断が原審と高裁とで分かれました。

この事例は、読めば読むほど、ほかにもいろんなことを考えさせられます。
1)まず、被告の両親はともに知的障害者です。両親の姉妹の一人(叔母)が熱心な支援をしていたようです。
2)その叔母の指導で運転免許も取得しています。これが微妙に意思能力の判断に響いています。
3)ご本人の療育手帳の判定はB。IQは63。おそらく日常的な会話はあまり不自由がないレベルでしょう。
4)ヘルニアで入院中に知り合った同室のFから頼まれてサラ金Aからの借入れの保証人になりました。これは、叔母が返済。こんな風に、友人ズラした人から騙されるケースが結構あるんじゃないかなと思います。
5)叔母は、本人を相当しかりFとはつきあわないこと、保証人にはならないことを、「連帯保証」という漢字を書かせて、なんとか教えようとしたが、同じFから頼まれて、またまた大手サラ金のアイフルからの借入れの保証人になってしまいます。叔母より友人の方が本人にとっては、楽しい人であったのかもしれません。このあたりのことが支援者にとっては辛い。
さて、またFが返済しないのでアイフルから請求。弁護士に相談したが、結局、訴訟を起こされる。
6)提訴後、保佐申請。これは認められました。

 わたしは仲間と一緒に全国の生活支援ワーカーを訪ねて、地域に生きる知的障害者の生活トラブルの実体調査をしたことがありますが、その過程で保証人にさせられた事例をいくつか聞いたことがあります。やれやれです。
 裁判所では、保証契約を締結する能力がないとすることが多いようですが、保障の意味が理解できていないとか、この判決のように計算ができない、など理由はいろいろありえます。あんまり判例集に掲載されるのを見たことがありません。裁判所までいけば、療育手帳をもっているかどうかだけで判断することはできないでしょうから、そこに至るまでに多くの関係者が、たいへんな努力をしていることでしょう。
 金融機関側にもう少し窓口対応で配慮ができないか。そんな思いを強くしています。サラ金の人は「知的障害があることがわかっていれば絶対に貸さない」とおっしゃいます。でも実際には、貸しているのです。

 それと、このケースでも最初は叔母が返済しています。こんな話も多い。親戚が代わって払ってしまうことは、親戚にとっても本人にとってもあまりいい結果をもたらさない、これも実態調査でわかってきています。本人の能力の問題として位置づけることが、本人にとっても家族や支援者にとっても重要なことです。ここらあたり、どうその理解を広めていけばいいのか。今後の課題です。

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