障害者後見2
障害者とその家族にとって成年後見は、絵に描いた餅か?
昨日の成年後見の数字は、高齢者の成年後見も障害者の後見も含んでいます。
正確な数字は、最高裁のホームページにあります。
http://courtdomino2.courts.go.jp/tokei_misc.nsf
昨日は、5年を経過しても利用は、最初の鳴り物ほどは伸びていないと書きました。障害者についてはどうでしょうか。
実は、障害者に特化した成年後見の統計数字を私は把握していません。
わが国では障害者は、その定義すら明確ではなく、厚労省も障害者の実数を正確には掴みきれていません。知的障害者については平成12年度の厚労省の統計がありますが、知的障害者は概算46万人です。しかし、これには自閉症はおそらく含まれていないでしょうし、定義自体があいまいなまま行われた数字ですので、参考数値程度の意味しかありません。不思議なことに46万人の中には1万4000人の年齢不詳の人が含まれています。どこかの未開地の統計数字ではありません、明治期の統計数字でもありません。平成12年の日本の政府が行った統計数字の中に1万人を超える年齢不詳の人が含まれているのです(すべて在宅です)。障害者の実数を把握することがいかに困難な作業であるかが、この一事をもって理解できようというものです。
なお同じく精神障害者の統計数字については厚労省の平成11年の統計では、204万人となっています。これも参考数字程度に理解しておいたほうがいいでしょう。
話が横道にそれましたが、障害者の定義や統計数字それ自体が明確ではないのですから、障害者の成年後見の統計数字を打ち出すことは、困難な作業だと思われます。
しかし成年後見の統計には、本人の年齢別統計がでており、それによればほとんどが65歳以上です。男性で45%、女性で72%です。また後見人に親が就任した割合が11,3%ですから、これらのことから、成年後見事件の多くはまだまだ高齢者の後見申立であって障害者の後見申立は、ふえつつあるとはいえ、マイナーであると言えましょう。年齢と後見人の統計からの単純な推測をすれば、障害者の後見は全申立の1割程度、多くても2割程度ではないでしょうか。そうすると年間 2000件を越えない程度の利用にとどまっているというところでしょうか。
障害者の概数が、参考程度とはいえ、知的で46万、精神で204万、他にも自閉症の方などさまざなま障害者がおられるわけですから、障害者とその家族にとって、成年後見制度は、喧伝されてはいるが、ほとんど使われることのない制度であったといえましょう。
最近、私は親の会などで成年後見の話をさせていただく機会があるのですが、そこでも上述のことを実感します。親御さんたち、それも高齢化した親御さん達の最大の関心事は、「親なきあと」問題であり、成年後見制度には高い関心を持っておられます。アンケートなどを親の会で取りますと、どこの会でも90%以上の親の方が、成年後見に関心があると回答を寄せてこられます。ところが実際に利用している人は何人ぐらいおられるのかというと、アンケートでも会場で聞いてみても、一人か二人の方が成年後見人を利用している(それも親自身が後見人になっている)、といったところです。
では、その数少ない利用している方は、なぜ利用しているのでしょうか。これもまた実情を詳しく聞いているわけではありません。法律事務所リエゾンで権利擁護活動を展開する中で、あちこちで仄聞する限りでは、財産侵害問題などが発生し、後見の緊急的な必要があったケースがほとんどなのではないかと推測します。
以上、まとめていうと、障害者とその家族にとって、成年後見制度は関心はあるが、利用にまでは至らない、絵に描いた餅、あるいはショーウインドウの展示品、カタログ販売のカタログにとどまっているといたところかと考えられるのです。
では、どうすれば利用が伸びるのでしょうか。そもそも、いろいろ喧伝されているように利用を伸ばすべきなのでしょうか。→続く
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