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2006/05/02

Garrow's Lawyers 4

Fishkil
Armani とBelge そしてGarrowは、この事件の後どうなったのか。今日はそれを書きましょう。
写真は、Fishkill という刑務所の全景です。

 二人の弁護士は、受任から判決にいたるまでずっと「殺してやる」といった類の匿名の脅迫を受けていました。そのため常にピストルをカバンにいれて仕事をしていたそうです。
不開示についてのストレスもあったようです。家族が事務所に訪ねてきたときに、「知らない」と答えたBelgeは、Garrow の公判まで、何日も何日も眠れぬ夜が続いたと、後にマスメディアに答えています。
 脅迫は、Garrow に対する判決のあともずっと続きます。常にピストルを携帯しながら、ストレスに晒されて仕事をするのに嫌気をさしたBelge は、ついに弁護士を廃業し、フロリダに引っ越してしまいます。その後、そこでどんな仕事をしたのか分かりませんが、1983年にLake Worth にて死亡したと報告されています。63歳でした。

 Armani は、事件のアトも仕事をしています。が、やはり脅迫電話や手紙に晒されます。彼だけでなく、彼の子供も学校でいじめにあい、これらのことが原因で夫婦仲が悪くなり、離婚しています。そして何人かの弁護士を擁している比較的リッチな法律事務所をやめ、自分ひとりの単独事務所でほそぼそと形ばかりの仕事をする生活になりました。
 Armani は、1984年にこの事件を素材にした本を出版し、この本をモデルにしたビデオやテレビ番組が組まれたそうです。私はみていません。

Alibrandi, Tom and Armani, Frank H. (1984) Privileged Information. New York City, NY: Harper Collins

この二人の弁護士が、Garrowの弁護で州から受け取った報酬は1万ドル。その「熱心な弁護」の結果、彼らが失ったものは途方もないものです。友人と家族と依頼者です。職業倫理とはいかに激しいものなのかを思い知らされます。

 Garrow は有罪判決を受けたあと、Dannemora、Auburn という二つの刑務所に収監されました。そこで彼は、刑務官からひどい扱いを受けていると苦情を提出し、刑務所の移動を求め続けます。最後は、ニューヨーク州に対して不当処遇を理由に1000万ドルの損害賠償を求める訴訟を提起しています。損害賠償の結果は分かりませんが、車椅子生活を送っている彼の身体状況を理由にして州当局はついに彼をFishkill という医療刑務所に移動します。1978年のことです。この刑務所は、もともとは精神病院であったようですが、1970年代には医療刑務所としての複合施設を有しており、Garrow は、高齢者・身体障害者ユニットに収監されました。この刑務所は、比較的警備が手薄な刑務所です。この刑務所に興味のある方は次のサイトをどうぞ。
http://www.correctionhistory.org/html/chronicl/docs2day/fishkill.html

 Fishkill に移動したその年の1978年9月8日、Garrow は脱走します。面会に来た息子が差し入れたラジオとピストルを持っていました。ちなみに、この差し入れのため、息子はのちに逮捕され、4年の刑を受けています。
 刑務所側は、当然大捜索を行いますがGarrow を発見できませんでした。足の不自由なGarrow がそんなに遠くに行くはずもないのですが、行方が分からず、思い悩んだ当局は、ある人物に助言を求めます。

 そう Armani です。

1973年のレイクプレザントの時には守秘を守り通したArmani ですが、このときは違っていました。Garrow は刑務所から脱走する方法をかつてArmaniに語ったことがあったそうです。それによれば、刑務所の近くの森の中にじっと潜んでいるはずだ、ラジオを聴きながら、警察の捜査の様子をチェックし、捜査が終了するのを待っているはずだというのです。Armani のアドバイスを受けて刑務所の付近を捜索したところ脱獄から3日目に、刑務所の近く(なんと塀から200ヤードほどのところだと書いてあります)の森の中でGarrow は発見されました。
 Garrow が先に発砲したので捜索陣から一斉射撃を浴び、彼は一瞬のうちに蜂の巣状態になり射殺されました。9月11日午後6時のことでした。
Garrow_tree
写真はGarrow が隠れていたという森です。なんだかのどかで見晴らしがよく、どこに隠れていたんだろうって思いますね。
 Garrow の遺体は Syracuse の Oakwood Cemetery に埋葬されたとのことです。それは、弁護士によって明かされることなく獣に食い荒らされていた被害者 Alicia Hauck の遺体があった墓地です。

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コメント

Kenji47 さん、コメント・トラックバックありがとうございます。Garrow の話はもう少し書くつもりです。ちょくちょくお立ち寄りいただけると幸いです。

投稿: satosho | 2006/05/22 13:38

はじめまして。
先生の投稿が弁護士倫理について考えるにあたり、大変ためになると思い参考にさせていただきました(と言いいますか勝手にリンク貼らせていただきました)。

投稿: kenji47 | 2006/05/20 15:02

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