消費者契約法改正(続)
出がけにばたばたと改正ニュースに接したたので、内容の理解がまったく足りなかった。条文を読んでみると、よく分からないことが多い。
団体訴権を認めたときに、訴訟法上まずもって問題になるのは、1)訴権の競合の問題(原告適格)、つまり団体と消費者の個々の訴訟の競合を認めるかの問題と、2)判決効の問題、つまり団体訴訟で団体敗訴の場合に、判決効を個々の消費者にも及ぼすかの問題があるのであるが、これがどうもよく分からない。
法案の早い段階では、団体に損害賠償請求権の行使も認める規定があったようであり、そちらのほうでは、上の2点の問題は、それぞれ規定されていたようである。ところが今回成立した団体訴権は、差止請求だけを団体に認めるものであって、損害賠償に関わる規定はすべて落ちている。そして差止めについては、ひとつの団体が訴訟を提起した場合には、上の2点の問題は、他の団体をすべて拘束するという団体相互の関係規律が規定されているものの(弁護士会は反対している)、団体と個々の消費者の関係規律は規定されていない。
私の理解や読み方が充分でないところがあり、いずれ消費者契約法の専門家からの解説があちこちにでるであろうから、その解説を待ちたいが、すっきりしない。
おそらくは、個々の消費者には、そもそも差止め請求権はない、という理解を前提にしているのであろう。経団連の考え方はそのようである。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/008.html
あるといってもないといっても、実際に行使されることはないであろうから、同じことかもしれないが、私には、この点を断言する力がない。立法作業であるから、この点についても議論をしてほしかった。
なお個々の消費者に差止めを認める立法提案としては下記のサイトがある。
http://www.nomolog.nagoya-u.ac.jp/~kagayama/consumer/injunction/ch3_txt.html
ところで、仮に個々の消費者にはそもそも存在しない権利の行使を、団体であるがゆえに与えたとすれば、「多数被害の救済」は個人では難しいので、「個々の消費者に代って」その権利行使を団体に認めた(法律上の構成は、法定訴訟担当ということになろうか)ものとは、まったく違う法政策を採用したことになろう。この点、議員立法だったので幾つかの議員の説明が公表されているが、やや不適切なような印象を受ける。
とまれ、わが国で、はじめて団体訴権が法制化されたことだけは確かである。一人ではできないが、政府のお墨付きがある団体であればできる権利行使とは何か、さらなる専門家の議論に期待したい。
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コメント
タイプミスで、校正段階のものをしばらくアップしてしまいました(午前0時から1時ぐらいまで)。その間にアクセスいただいた方には、お詫び申し上げます。
訂正・追加しております。これでもまだ自信はありません。この問題は難しい。
投稿: satosho | 2006/06/01 01:40