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2006/06/23

歩行者同士の衝突事故

「お嬢さん、気をつけて歩きなさい」
そんな判決が今月の15日に東京地裁で言い渡されている。
新聞報道や各種ブログで取り上げられているのでご存知の方も多いと思う。私は、この判決はかなり衝撃を受けたので、詳細が分かるまで、ここには書きたくないと思っていたのであるが、なにせ、最高裁の判例サイトは待てど暮らせど、この判決を公表する気配が見えない。いずれどこかに詳細が公表されれば、また書き直すことにして、今の段階で思うことをメモにしておくことにしたい。

まず概要:毎日新聞から頂戴している。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/women/news/20060616ddm041040183000c.html

 「交差点で歩行者同士でぶつかり、転倒し骨折した東京都内に住む93歳の女性が「右足に障害が残った」として相手の27歳の女性に2000万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は15日、慰謝料など約780万円の支払いを命じた。大嶋洋志裁判官は「若い女性は、お年寄りらが周囲にいないか注意を払い、接触や衝突を回避すべき義務を怠った」と述べた。」

 「判決によると、この事故は04年8月、世田谷区の商店街に近く、車がほとんど通らない交差点で起きた。お年寄りの女性が横断していたところ、左側から速足で歩いてきた若い女性と衝突。お年寄りはあおむけに倒れ、股(こ)関節の骨を折り右足が不自由になった。」

 「大嶋裁判官は「健康な成人は道を歩く際、高齢者や幼児、障害者ら弱者に進路を譲ったり減速や停止したりすべきだ。現場は当時、多くの歩行者が行き来していたのに、若い女性は友人と話しながら漫然と歩き、お年寄りに気付かなかった過失がある」と指摘した。【高倉友彰】」

 この判決、なかなか評価が難しい。障害者ら弱者に道を譲るといっていて、それはそれで間違いではないが、障害者がお年寄りと衝突したときはどうなるのか。それはこの判決の射程外かもしれない。詳細がわからないので確かめられない。

 では障害者が「健康な成人」と衝突して「健康な成人」が怪我をした場合はどう判断するのか。判決によると健康な成人は、障害者に道を譲るべきだとしているが、「健康な人」の方が怪我をした場合でも同じ判断を維持するのか。どうもよく分からない。

 加えて、認定の損害額である。この判決は、ここが一番の論点であろう。780万という損害額を認定したのは、多くのブログで驚きの声が上がっているようだ。相当因果関係の判断なのであるが、どうしてそうなるのか、これも判決文の詳細が公表されていないので分からない。

 福祉関係者にも影響が大きい判断なので、ぜひ公表してほしいところである。
 「健康な成人」の世界では、興味本位のニュースで終わるかもしれないが、福祉関係者の間では、歩行者同士の衝突は、日常的な出来事なのである。

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