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2006/06/19

記者の証言、取材源秘匿を容認…東京高裁

民事訴訟法を勉強する人間としては、気になる事件であったがはやばやと新聞で報道され、インターネット上でのコメントも幾つかでている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060614-00000003-yom-soci

 「米国の健康食品会社が米国政府に損害賠償を求めた訴訟の嘱託尋問で、読売新聞記者が取材源に関する証言を拒絶したことの当否が争われた裁判で、東京高裁は14日、取材源を明かすよう命じた東京地裁決定を取り消し、証言拒絶を全面的に認める決定を出した。」

 この事件の内容的なコメントについては、すでにあちこちで出ているし、二番煎じになる感じがするので、落合弁護士のブログに譲りたい。結論的には、この高裁の判断に私も賛成である。取材源の守秘義務違反をしている可能性があるから、証言拒絶は許さないという論理は、証言拒否と犯罪摘発とを短絡的に結び付けているように思えるからである。

落合弁護士ブログ
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060614


 私が時期遅れに関わらず取り上げたのは、次の二つのことをコメントしたいからである。

1) インターネット上の判例報道とコメントの速さに驚く。当然のことであるが、判例時報や判例タイムズでは、この速さは望めない。しかもコメントの質が高い(賛否両論あるようであるが、顕名の上でまともに扱っているものがある)。もちろん、こうした傾向はどんどん進めてほしい。

2) この事件は、アリゾナ連邦地裁の裁判に絡むものであるが、国内の新聞社がアメリカの裁判所に関わって裁判を戦わざるを得ない自体をどう評価していくのか。新聞社に対する威嚇効果は、もう充分である。このような問題は、すくなくとも民事訴訟法の領域では、従来、充分に検討されていなかったように思う。課題であろう。

私のようなスピードの遅い人間は、ただ「早いなあ」と思うのが、コメントの最期である。

なお、せっかくなので民事訴訟法判例百選(77番事件)の掲載判例を引用しておきます。この例は、取材源の秘匿を認めています。取材源であれば常に証言拒否ができるのか、場合によるのか、難しいところでしょうが、後者の立場が強いようですね。
札幌高裁昭和54年8月31日決定下民集5-8号403頁
でも引用しても、ブログにお越しの皆さんの中で何人の人がアクセスできるのか、よく分かりませんね。法学生であれば簡単ですが。。まだこのアリゾナ地裁関連の決定例も裁判所サイトには公表されていないようですし。

毎日新聞に決定要旨が掲載されていました。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060615k0000m040038000c.html

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コメント

この事件に関する関連決定は次のようである
最高裁の判例サイトには、今日の段階で一件も掲載されていない。3)は判例時報に掲載されていた。1926号42頁
1)2005年10月11日。NHK記者の証言拒絶を「正当」とする決定,新潟地裁
2)2006年3月14日 読売新聞記者の証言拒絶を認めない決定
3)2006年3月17日 NHK記者に関する新潟地裁決定の抗告決定(地裁決定を維持)
4)2006年4月24日 東京地裁、共同通信記者の証言拒絶を認める
5) 月刊誌テーミス社長と編集長に対する証言拒否を認める(東京地裁・日時未確認)
6)2006年6月14日 東京高裁 2)の地裁決定を取り消し、証言拒否を認める

現在、3)について、米国食品会社側が最高裁へ特別抗告・許可抗告を申立中

投稿: satosho | 2006/06/20 09:35

 深夜にアップしてから、百選を引用しておこうと思って書き足しました。でも一般の方にはほんとに関係ないですね。
 下級審判例速報がもっと早くなるといいんだけど。
 なおアップの時間も、書き足した時間に変更しました。

投稿: satosho | 2006/06/19 02:48

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