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2006/07/08

判例の引用とアクセス

親の監督責任の判例記事を読んだ友人(非法律系)から、事件を呼び表すときは、どのように言えばよろしいのでしょうかと疑問を頂戴しました。
1)「最高裁平成17(受)882」か?
2)昭和49年3月22日最高裁判決民集28巻2号347頁みたいなのか?

  2)は、非法律家にとっては「戒名」みたいな感じで、とても知ることはできないそうです。そうでしょうね。私は法律の教師を何年もやってきたので、慣れすぎていて、こういうご意見を受けるととても新鮮です(^o^)

 ちなみに1)は、裁判所が事件を受理したときに事務官がつける事件番号です。上の1)は、最高裁が平成17年に受け付けた事件で、事件種別は上告受理事件((受)がその意味です)、そして受理事件としてその年に最高裁に申立があった事件の882番目の事件という意味ですね。事件を特定するには、これが一番正確なのかもしれませんが、受付番号ですから判決の年月日が分かりません。掲載雑誌もわかりません。そこで法律家が、判例引用するときには、一般的につぎのように引用します。

[裁判所名](裁判種別:判決か決定か)[言い渡し年月日(裁判年月日)][掲載文献名][巻号数 ページ]
 つまり上の2)ですね。

 2)の方法で法律家は慣れているのです。しかし、この慣行は、非法律家を司法の世界から排除する一種のバリアーですね。判例が雑誌に掲載されているかどうかが、だいたい分からない。おまけに民集って何、判例タイムズ、判例時報、それってどこにあるの?、って人は多いでしょうね。まさに戒名です。

 判例情報は、いっとき各裁判所サイトがかなりの量の情報を公開していましたが、今年の3月ぐらいからでしょうか、最高裁の一括管理になり、公開情報が激減しています。民間(商業ベースであれ、そうでないものであれ)の任意の公開情報に期待するしかないのですが、ほとんど発達していません。その発達を促すと同時に、判例の引用方法も考え直したほうがいい時期にきていますね。でも慣れですからねえ。なかなか一挙にというわけにはいかないでしょう。法律家と非法律家のあいだの判例情報をめぐる相互交流を進めて知恵と工夫を集めたいものです。

 とまれ、新聞で報道される多くの事件が、判例集に掲載されない(特に最高裁サイトには掲載されない)傾向が続く中で、法律家の判例引用方法は、多くの人にとって判例へのアクセスをより難しくしているといってもいいでしょう。

 ちなにみ、唐突ですが、判決文には著作権がありません。
著作権法13条
(権利の目的とならない著作物)
第十三条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。
  一 憲法その他の法令
  二 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人(独立行政法人通則法<平成十一年法律第百三号>第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)又は地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
三 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  四 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
(平十一法二二○・二号四号一部改正、平十五法一一九・二号四号一部改正)

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