民訴の10年
現行民訴が制定されたのが、平成8年(施行は10年)。それから10年たったというので、ジュリストが特集を組んでいます。
ジュリスト 2006.8.1-15号(No.1317) 【特集】新しい時代の民事訴訟法
ジュリストの目次はこちら。
http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/
いろいろ思うことがありますので、書いてみました。
その1)
目次を見てもらうとすぐ分かることであるが、訴訟物、弁論主義、訴の利益、既判力、当事者といった、民事訴訟法講義に触れられる「基本原理」が存在しない。
これは当たり前で、現行民訴を制定する際に、こうした在来型の基本原理には、手を付けないで改正が行われたからである。
この点は、常識に属することだと思っているが、学生さんの中には知らないヒトもいるかと思う。
その2)
基本原理に手を付けないで改正されたのに、民事訴訟法は大きく変ったとも言われている。とくに「早くなった」。制定にあたっての主眼目のひとつに、訴訟促進があったことは誰の目にも明らかであるが(改正当時は、単に促進を目的にしているわけではないと盛んに言われていたが)、その目的が達成されたわけである。
この点で、注目したいのが、特集の中の裁判官の論文で、迅速化はもう限界に近づいていると指摘されていることである。すでに、そうした議論があちこちで出ているかもしれない。わたしも同感である。第一審の平均審理期間は、8ヶ月になっており、これ以上「早く」結果を出すには、裁判にとって不可欠と思われるものを省略する必要がありそうだ。
ところが、少し前に、講義で審理期間8ヶ月は早いですか、遅いですか、と法科大学院に入ったばかりの学生さんに質問したら「遅いと思います」と感想が帰ってきた。世間のヒトはそうなのだろうか。うーんと絶句してしまった。この学生さん、弁護士になったら見解がかわるに違いない。
その3)
もう一点、特集の座談会の中で(どこの弁護士会かわわからないが)高橋教授が、弁護士会の民事訴訟法改善委員会において、改善のための持ちネタが尽きたといわれたことが紹介されている。これも興味深い話である。
迅速化の目標が達成されたとの認識といい、改革のネタ切れといい、現行民訴の制定は、ひとつのステップをへて、次のステップへ再展開しようとしているかのようである。
とさらにいろんなことを書きたくなったし、書いてみたが、なにやらおかしな文章になりそうなので、今日はここまで。
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