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2006/08/22

後見人の財産侵奪事例

3年ほど前の朝日新聞に次の記事が掲載されていた(2003年09月22日(月))
「元弁護士逮捕、後見の精神障害者の財産横領した疑い(朝日新聞)
 精神障害の男性(61)から預かった株券を換金し、着服したとして、東京地検は22日、元弁護士のA容疑者(67)を業務上横領の疑いで逮捕した。」

 記事には実名が掲載されていたが、このケースで個人名をブログに掲載する意味はないので匿名に変えている。

 このA先生、後見人の地位を悪用したのである。「弁護士だった90年6月、家庭裁判所から、心神喪失のため自分の意思で財産が処分できない男性の後見人に選任されたが、その立場を利用して99年3月、男性から預かった旧富士銀行株など株券20枚(約200万円相当)を無断で処分し、自分の事務所を閉鎖する費用に充てた疑い。」

 A容疑者はその直後に行方をくらましたが、22日、千葉県館山市の知人宅に身を寄せていたところを発見された。このほかにも男性の土地を処分し、生命保険も解約していたという。」

 A先生は、弁護士会を1999年に除名されているが、それは整理屋との提携が理由である。後見人の立場の悪用はその前。職務不履行を理由に98年3月に後見人を解任されている。後任の後見人から、被後見人の財産を返却するよう求められ、告訴されていたという。

 いったん就任した後見人が解任されることは、レアなケースであるが、これぐらいのことをやれば解任されるということであろう。

 後見人弁護士が、被後見人の財産を侵奪するケースは、この事例だけではないが、多くはない。とくに弁護士が、こんなことをすれば、このケースのように弁護士資格を失うのであるから、その意味では有資格者に抑制作用はある。だが制度や法律家のほうはそれでよくても、いったん、こうした後見人に出会った被後見人は、その後、どうなるのであろうか。自分の財産がすべてなくなってしまうのである。生活や生命にも影響がでよう。そしてその回復が難しいのである。

フェイルセーフという言葉があったが、現状の後見制度にはこれがかけているように思えてならない。いい人にあたればいいけど、ひどい人にあたったらもうなにもかもおしまい。問題は、後見人ひとりで、こうしたことが出来てしまうことにある。また一人で職務を行わなければならないことも問題だ。それだけの権限をもっていて、裁判所の監督も事後的にしか及ばない。後見人の財産侵奪は、レアーなケースであり、それよりも権利擁護的側面を強調すべきだという意見ももちろんあると思うし、それはそれで間違いではないと考えたいが、権利侵害ケースがあることは、やはり念頭においておくべき事柄であろう。「後見利用で、すべて安心」みたいな議論が横行しているのであえて書いておきます。

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