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2006/08/10

「よって書き」?

 答案の採点をしているといろいろ考える。当然のことながら1年生の答案より3年生の答案のほうが法律の答案らしい文章運びになっている。この傾向は学生・教師双方にとって慶賀の至りである。ただ過ぎたるはなんとやらというか、3年生の答案にいわゆる「よって書き」が多いのが気になる。

 「よって書き」とは、民事でいえば要件事実教育のたまもので、請求原因、抗弁等の区別を前提にしている。文章形式として、請求原因a、b、c、がある、「よって」被告は損害賠償義務があるなどなどの結論部分を記載するものである。請求原因と法効果の結びつき、あるいは抗弁とそのねらいが、書くほうにも読むほうにも明確であれば、この記述形式は意図が伝わりやすい。
 しかし、法曹倫理の答案でこれが多いのはびっくりする。Aである。Bである。Cである。「よって」この弁護士は、この行動をとるべきではない。などと書かれてしまうのと、DやFはどうなの?、なんで「よって」なの?、その論理構造は?、などと読むほうが考え込んでしまう。要件事実というのは、はまるとけっこうそれですべてを語りたくなるところがある。私も若いころローゼンベルクの証明責任論を面白がって読んだほうだ。しかし、法曹倫理までそれで処理しようとする思考様式には、いささか辟易する。そもそも悩みがまったく伝わらない。単なる要件・効果では処理できない人間的な悩みがでてこそ「倫理」なのであるが、「よって書き」では、そこが表現できない。そんな思いを持つのは私だけだろうか。

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