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2006/08/30

水戸アカス事件

 判例タイムズの最新号をみていたら水戸アカス事件の地裁判決が掲載されていた。水戸地裁平成16年3月31日判決判タ1213号220頁。と書いても、このブログの読者の皆さんの中には、もう耳にタコができるほどこの事件の話を聞いたことがある人と、まったくそんな事件など知らないという人と、両方の方がおられると思う。そのため、どのように紹介すればよいのか悩ましい。

 この事件は大津地裁で下されたサン・グループ事件(大津地方裁判所判決平成15年3月24日判例タイムズ1169号179頁)と並んで知的障害者の司法的手続きに転換点を与えたものと思います。いわゆる法令の解釈・適用という点で華々しい論点を提供するものではありませんし、教科書的な議論に載りにくいところがありますので、公式判例集には掲載されていませんが、この二つの判例が民間判例集に掲載されていることは、やはり意味のあることだと思います。
 水戸アカス事件とは、20名程度の知的障害者を雇用している有限会社アカス紙器の社長赤須正夫という人が、それら障害者に対し長期間にわたって精神的・身体的・財産的に虐待行為を行い、女子障害者にはレイプ行為をも繰り返していたという事件です。刑事事件と民事事件の両方があり、加えて支援者の刑事事件や弁護団の交代劇など、ドラマがありますが(実際にも「聖者の行進」というタイトルでテレビドラマ化されてもいます)、判例タイムズに掲載されたのは民事事件です。原告として判決の名宛人になっているのはレイプされた女性障害者3名で、水戸地裁は原告の主張を認め損害賠償請求を認容したものです。高裁に控訴されましたが控訴は棄却。上告はなかったので、原告勝訴で確定しています。
 女性障害者の被害者としての証言をどう理解するか、これは証人尋問のあり方についてとても重要な論点なのですが、あまり民訴では取り上げられていません。わたしも実はあまり検討できていません。そのうち時間を取りたいと思っているのですが、残念ながら資料も検討手法についての知見もなくて、いつになることやらと思っています。
 
 この事件全体については、障害者側の視点から支援者団体が作成しているサイトが詳細に紹介しています。
水戸事件のたたかいを支える会ホームページ
http://www.iris.dti.ne.jp/~globe/

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