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2006/09/15

成年後見高額報酬事件

 毎日新聞の成年後見取材班が、この数日の間にいくつかの記事を掲載したので、ご存知の方も多いと思います。成年後見活動を熱心に進めている司法書士会のリーガルサポートのメンバーが、77歳の高齢女性と任意後見契約を結び、同時に締結した財産管理契約に基づいて1年半の間に500万ほどの報酬をとったとして女性から解任された事件です。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060914k0000m040163000c.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060914k0000m040170000c.html

 この二つの記事の時点では、この司法書士さんは、「契約に基づく正当な報酬である」と記者に語っていたそうですが、今日の記事では、400万円を返還する意向を示したそうです。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060915k0000m040157000c.html

弁護士会には、報酬をめぐる紛議調整委員会というのがあるのですが、司法書士会にはないのでしょうか。あったとしても対応に当たっているリーガルサポートでは、そのレベルを超えているという認識かもしれません。

記事から-----------------
 「日当」では▽女性との面会1回が2万5000~5万円▽印鑑店で664円のゴム印を購入した際が5000円▽区役所で住民票を取得した際は2万円--など。手続き関係の報酬は▽マンション売却時に83万円▽福祉施設への入居契約で70万円--などだ。

 女性は毎月3万円の定額報酬を支払っており、司法書士が所属する社団法人成年後見センター・リーガルサポートは「面会など通常業務は定額の範囲。30分5000円もの日当加算はおかしいし、不動産売買などの報酬も高すぎる」と認める。

 司法書士は86年に事務所を開設。成年後見制度が始まった00年以降、積極的に利用普及にかかわり、昨年までリーガルサポート東京支部の副支部長も務めた。インターネット上のブログで制度の活用を説き、今春、制度を紹介する本も出版した。女性は「専門家だから安心」と紹介されていた。
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住民票の取得で2万円って「結構な」報酬ですね。弁護士だとこんなには請求しません(と思います・全員がしないと断言できないところが辛い)。司法書士さんだってこんな請求をする人は、そんなにいないでしょう。

この事件のお陰で他の司法書士さんの意欲や評判が低下しないことを望みたいです。

 この問題の背景には、しかし報酬が高額だということ以上に、弁護士さんや司法書士さんの使い方を成年後見利用にあたって関係者が「間違っている」点があるように私は思っています。弁護士や司法書士は法の専門家です。日常的なケアの専門家ではありません。食事や衣類の介助といった身の回り世話を後見人である弁護士や司法書士に期待する人はもちろんいないと思います。ところがこの事件もそうなのですが、日常的な契約問題や家庭問題、住まいの問題など、結構「日常的なケアのありようを理解したうえで、その基盤となる判断についての相談や業務を後見人に期待する人が多いと思います。しかし、これを専門業務とする法の専門家はいないのです。
 そのため成年後見人と法律家は、紛争性・事件性のある緊急対応型のケースを別にして、それぞれ別に存在して連携をとりながら業務を行う(そうすると法律家の関与の度合いが少なくなりますから報酬も少なくなります)のが、その専門性を活かした依頼の仕方であると思っています。しかし、こうした私の考えは、あまり一般的ではないようすね。

 もっともこの事件は財産管理契約の報酬の問題です。その点に限定していっても高すぎです。また日常的なケアに配慮した管理契約を結んでいたとしても、1年半で500万はやはり高額でしょう。この司法書士さん、どんな日常業務をされていたのか。

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