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2006/10/21

発達障害報道

最近、「発達障害」という言葉が、犯罪とのカラミでマスメディアに登場することが多くなっています。この件につき、MOMOさんが、寝屋川の教師刺殺事件を素材に、コメントを書いておられます。

http://diary.jp.aol.com/bfkxuuhuqg4n/446.html

奈良の殺人放火事件とのカラミでも専門医がコメントを書いておられます。
 http://homepage3.nifty.com/afcp/B408387254/C941292185/E157516331/index.html

 そもそも発達障害の概念定義が難しい。軽度発達障害というのは日本だけの造語だと聞いています。このように定義の難しい言葉を法廷で使わざるをえない立場にたったときは、法律家はその立場が裁判官・検察官・弁護士のいずれであれ、苦労します。その理解や認定が難しいからです。いま自分達が扱っている当事者は、障害者なのか?、かりにそうだとしてどのような障害者なのか、その判断が難しいからです。

 と同時に、かりに障害者が事件に関与していたとしても、発達障害自体が事件の原因ではなくて、二次的な事情、つまり周囲や社会の間違った対応が原因であることが多いのだと私は考えていますが、これまた理解や表現の難しい話です。奈良の事件の鑑定では、そのあたりを微妙にあらわしているそうです。

 障害者の親の会の中には、発達障害や自閉症の言葉を犯罪報道において使用するなというキャンペーンを張っているところもあります。気持ちは分かります。不用意な使用は、事実関係を間違って報道するだけでなく、多くの平穏に、しかし歯を食いしばって懸命に生きている障害当事者や家族、そして社会一般の方々に誤解を与える可能性があるからです。

 しかし、報道自体を止めることはできないでしょうし、障害者団体による言葉狩りの印象を与えてしまっては、なにをしているのか分かりません。

 まずは、事件を扱う法律・司法関係者により適切な法解釈と手続運用をお願いすることが肝要です(報道関係者ももちろん大切でしょうが、報道関係者が素材にする事件担当者自体がピントがずれていては、報道もよくなりません)。ところが、障害関係者による司法や法律関係者への働きかけは、意外なほど少ないのが現状です。発達障害者の司法過程での扱いに、法律家の理解が十分ではないとすれば、それは法律家だけの責任ではなくて障害関係団体の視野や付き合いの狭さにも起因しているように私は思っています。

 医者か心理学者か教育関係者、発達障害関係の団体が興味を持つ専門家は、ここらあたりでしょう。法律家なんてのは、不祥事が起きたときにイヤイヤ会わなければならない人でしかない。平素からの交流がなくて、事件が起きたときにいきなり「理解しろ」「助けろ」といわれても多くの法律家は困る人が多いと思います。

 現状ではごく少数の篤志家的な弁護士が、それこそわが身を削る思いで活動されているのが私の目に入りますが、このままでは、この弁護士さんたちの数が増える将来像が描けないでいます。ちょっと障害関係団体への辛口のコメントになりますが、最近、よく思うことです。

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コメント

今朝方、我が家で「発達障害」が流行語になってるねえ、と会話したばかりです。興味本位な報道もあるように思います。なんでこんな事件が起きるのと世間の人々が不思議がり、「発達障害だから」という表現を目にして「ああ、そうなんだ、自分達健常者の世界とは違う人々の世界なんだ」と妙に安心する、そんな構図は、障害のある人にとってはもちろん、障害のない人にとっても虚構の説明でしかない、そう理解しています。

投稿: sastosho | 2006/10/21 17:31

トラバありがとうございます。最近、動機の推測がつかず、あるいは、動機があっても、動機と犯罪との結びつきが理解しにくい事件(特に、少年事件)では、必ずといってよいほど、(本当に事件に直接の関連があるか否かに関わらず)「発達障害」が問題にされている気がします。事件前に「発達障害」が判明している例というのはほとんどなく、多くは、裁判を進める中で明らかになっています。ということは、これまでは、家庭や学校で、全く「発達障害」に配慮した対応がなされていなかったケースだということです。この点、しばしば専門家が強調していますが、どうしても伝わりにくいですね。

投稿: MOMO | 2006/10/21 16:43

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