母よ殺すなかれ
なんとも痛ましい事件が報道されている。今月の6日に福山市内で30代の母親が、5歳と3歳のお子さんを殺害して警察に自首したというのである。子供は二人とも発達障害であったとか自閉症であったとかの報道がなされている(そのような報道をしていないところもある)。
このことは、下記のブログで知った。
A Fledgling Child Psychiatrist (AFCP)さん
http://homepage3.nifty.com/afcp/B408387254/C174902512/E20061109234030/index.html
kaipapa さん
http://kaipapa.livedoor.biz/archives/50832239.html
また新聞報道には次のようなものがある。
(MSN毎日インタラクティブ) この記事には発達障害であるとの記載はない
殺人:息子2人を絞殺 自首の34歳母逮捕 広島6日午後5時40分ごろ、広島県警府中署に、同県福山市、主婦(34)が「子どもを殺した」と自首してきた。同容疑者が運転してきた軽乗用車内を署員が調べたところ、長男(5)と二男(3)の2人が後部座席に腰掛けるようにして既に死亡していた。同署は殺人容疑で容疑者を緊急逮捕した。
調べでは、同容疑者は同日、市内の山中に止めた軽乗用車内で、2人の首を絞めて殺した疑い。
同容疑者は会社員の夫(33)、長男、二男の4人暮らし。先月27日にも、息子2人を連れて車で家を出たまま連絡がつかなくなり、夫が「自殺のおそれがある」と警察に届け出た後に帰宅したことがあった。育児について悩んでいたという。(実際の記事から固有名詞を除いています:SATOSHO)
(nikkansports.com) この記事は自閉症だと書いている。
同署によると、息子2人はともに自閉症で、容疑者は「育児に悩んでいた」と供述。家族は「ノイローゼ気味になっていた」と話しているという。
(山陽新聞 Web News) この記事は病気だとしている
「二男の病気に悩んでいた」と供述しているという。
中国新聞社説 この記事は発達障害としている。
発達障害の二男の子育てに悩んだのが動機とみられる。
いろんな表現があるものだと思います。5歳の長男は診断を受けていたのかもしれませんが、3歳の段階で自閉症だ発達障害だという診断は難しいのではないかと思います。母親は、しかし、確定診断がでないまでも、そのことで悩んでいたということでしょう。
各社の報道の仕方にぶれがあるのは、自閉症協会が出している「発達障害」[自閉症」という言葉を安易に使うな、という要請についての対応の差異でしょう。
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コメント
母親の思いはMOMOさんご指摘の通りでしょうね。
私が若いときに読んだ自閉症関係の読み物のアドバイスに「母親に一日30分の自分の時間を確保してもらうことからはじめよう」なんてことが書いてあったのを思い出します。
たった30分でも自分の時間の確保が難しいと当時は思われていたのでしょうね。支援費制度が始まってからずいぶん状況は変ったように(良くなった)思いますが、いまでもそんな母親はいるかもしれません。睡眠障害が起きたときにはマジに寝るヒマもなくなりますから。
夫たる私は、昔は「一日30分って言うならその倍の1時間は毎日確保しよう!」なんて、家人になんの相談もせずに勝手に決めて「自己満足的良き夫像」を演じたこともありますが、それも今は昔です。
幼児期から学齢期の母親をどうサポートするのか、これは今も昔もやはり難問なのだろうと思います。親を追い込まない社会づくりが必要だと思います。
ところで、青年の顔つきになってきているわが子は、可愛いのです、私とは似ても似つかない男前ですし(親バカです、ごめんなさい)。
投稿: satosho | 2006/11/29 23:29
本当に、悲しい事件です。この報道を聞いたとき、もしやと気になっていましたが、やはりそうだったのかと・・・虐待の報道も、一部はこういった障害が絡んでいるものがあるのではないかと思います。
わが子は可愛い、それは親ならみんな思うことです。でも、そんなことを考えるゆとりがない・・・食事、睡眠、入浴、着替え、どれもこれもトラブルが生じます。一緒に買い物へ行くにしても、病院に連れて行くにしても、必ずといっていいほど、トラブルがある・・・それを多くの母親は、若ければ若いほど、一人で抱え込んでいます。父親の多くは、仕事に行ってしまうからです。夜だけとか、日曜日だけとか、そういった時間限定のつきあいでは全く分からないストレスがあります。日中、そばにいてサポートしてくれる人、一緒に泣いてくれる人、愚痴をいっぱい聞いてくれる人、時には代わってくれる人、そういう人がいないと、乗り切れないだろうなと思います。
私は、母親ですが、仕事をしていますから、育児以外のことに集中する時間があり、育児関係以外の人とかかわる機会があります。それでも、帰宅して、子どもと2人きりのときにパニックを起こされると、もうへとへと・・・そんなことも知らずにまだ仕事をしている夫のことが、わけもなく恨めしく思ったりしました。やつあたりですね。
親を追い詰めないシステム作りが重要だと思います。
投稿: MOMO | 2006/11/29 09:57
AFCP さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。そうですか、2歳の段階で診断を普通につけるようになってきているのですか。補足訂正ありがとうございます。
思い起こせば、わたしの息子の診断は、2歳10ヶ月のときでした。1992年です。もう忘れてしまっていました。診断を受けたときに、「誤診の確率はどれぐらいありますか」、なんてしつこく聞いたことを思い出します。それだけ、診断・告知は衝撃が親には走ります。うすうすそうだと思っていても受け入れがたい、そんな心境でしょうか。でも子育てに困っている日常は親も否定しがたいわけで、それで何がなんだか分からなくなる、そんな感じです。
でも、私にとってはそんな話は今は昔。障害児は、育つにつれ、むちゃくちゃ可愛いくなるのですけどねえ。これは障害児を育てた母親の多くが同じことをおっしゃいます。私も(父親ですが)やはり、わが子は可愛い。そんな思いをいずれ抱くことがあるんだと、若い母親の方にも分かるような環境があればいいのですが。
投稿: satosho | 2006/11/28 15:19
satshoさん、リンクとご紹介ありがとうございました。
カイパパさんも書かれていましたが、相も変わらず同じような事件が起こってきます。乳幼児期から関わる者として、何ができるのか、何をしなければならないのか、考えさせられます。
ところで自閉症の診断に関してですが、専門機関の多くでは2歳での診断はごく普通になされるようになってきていると思います。自分の外来でも初診例の1割〜2割程度は2歳時の受診だと思います。最近では0歳、1歳からのハイリスク児のフォローアップ研究なども話題になってきています。
早く診断するからには、それに見合った支援の態勢を作っていなければいけないのですが、そこをしっかりやっていけるのか、そのあたりが問われる時代になってきそうです。
投稿: afcp | 2006/11/28 12:51
Enomoto さんこんにちわ。うーん、ほんとうに同じような事件ですねえ。こちらは知的障害ですか。障害を肯定する社会作りが必要ですねえ。
投稿: satosho | 2006/11/28 10:01
北海道でも同じ世代のお母さんが同じように苦しみ悩んでお子様の命を絶ちました。本当に痛ましい事件が続きます。社会はなんとかサポートできないものでしょうか。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061125&j=0022&k=200611258418
投稿: enomoto | 2006/11/28 09:14