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2006/12/10

支援型法という切り口

昨日の土曜日は、午前中に大学で育成会の後見プロジェクトの会合を行った後、午後、早稲田大学で行われた、法社会学会関東支部例会を傍聴しました。
 菅 富美枝さんの 「現代社会における「支援型」法の役割」という報告があったからです。

 菅さんは、今年、「法と支援型社会--他者指向的な自由主義へ--」武蔵野大学出版会(2006)という本を出版されていたので、是非、一度お話をお聞きしたいと思っていたものです。

 さすがに大きな議論です。非常に抽象度の高い議論が、任意後見制度を素材に展開されました。人は誰でも他者を助けたいという欲求を持っているのに、法がその実現を妨げているのではないかと指摘して、支援を支援する支援型法(容易化法とも名づけておられます)の展開が必要であると主張されています。充分に咀嚼しているわけではありませんが、その主張と発想には大いに共感しました。見ているところもポイントから外れていないように思いますし、彼女の議論は、私が日ごろ悩んでいることを「支援」してくれそうな印象を持ちました。

 ご主張に対しては、リバタリアンなのかコミュニタリアンなのかといった二者択一的レッテル張りを伴う批判がやはり出てきそうですし(そうした議論は適切ではなく、そのどちらでもないと主張されていましたが、どっちかに入れたがる人が世の中には多いように思います)、既存の法学の議論との調整(あるいは対決?)が、これから続くようでしょう。法の一般性、普遍性にどう対処されるのか、法の中にケアの観念をいれることが必要なようにも思いますが、ご主張は、そうではないようです。

 それにしても、若い先生は元気やなあと、感心した一日でした。その斬新な切り口には、大いに期待したいし、私のような年代のものも励まされます。

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コメント

なるほどねえ。名川さんのご意見のほうが現実的でしょうね。ケアの観念のほうの中に組み入れるのは否定的な意見が多いようです(詳しく調べたわけではないけど・・)
 意見交換の機会をまた作りたいものです。さっそく検討してみましょう。ときには、こんな夢みるような話しをしないと、あたまがさび付きます。無学な私でも夢学はできる(意味不明)。

投稿: satosho | 2006/12/10 21:56

ありがとうございます。勉強するにはなかなか楽しそうなところで、歯ごたえもありそうですね。紹介していただいたサイトからも「法社会学」の掲載論文の話があったので、それはひとまず入手してみたいと思います(読めるかどうかはさておき)。品川先生のが64号、佐藤先生のが49号ですね。

ところでケアについても利他性についてもそうですが、私はそれらが人に備わっていると認めるにやぶさかではないのですが、量的に十分であるかとか、法的なところに上手く落ち着かせるには期待しすぎではないのかしらとの懸念を抱きます。だから冒頭の質問の2番目として、「菅さんのいう社交的人間の自発的な活動を妨げないような法整備」くらいのほうが上手くいくんじゃないのかしらと思ったりしたのでした。しかし実はこれもまた自分でもしっくりしませんし、第一つまらないかもしれない。どちらかというと、両者の中間くらいが出来ると理想なんじゃないかなどと思ったりもします。

そんなことも含めて菅さんとはまたじっくりと議論が出来たら嬉しいので、どうにかして機会をセットいたしましょう(これはかなり本気)。出来れば複数のテーマを設けてそれらの集中討議など出来ればよいのですが。そりゃ無理か。

コメント欄では長すぎる書き込み、失礼しました。

投稿: ながわ | 2006/12/10 20:17

昨日はあのあともいろんな話しがあれこれありました。ただワインが入っていますので盛り上がったけど、はて何を話したっけ、という感じになっています(苦笑)。
 ケアについては、そうですねえ。菅さんは、メイヤロフは引いていないし、ノッディングスも参照していないので、彼女の頭の中のケアの概念は違うのかもしれませんね。でも人は支援したいし、支援されたいという欲求を生まれながらに持っているという主張は、メイヤロフやノッディングスの主張と似ていると思ったのですが。これはこちらのほうでもうすこし説明しないといけませんね。
 この種の議論は、この先生のサイトが勉強させてくれます。難しいけど。
http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~tsina/index.htm

「三つの」は、これはわが業界の常識に属することです(すいません、あのようなジャーゴンを使って話しを進めるから閉鎖的になるだろうと思います。自立型法、管理型法、普遍型法の3分類は田中成明先生の主張されたものです。
 これについては、私も一度、法社会学という雑誌(学会機関紙)に書評を書いたことがありますが(法社会学49号224-229P・1997年3月)。懐かしいなあ。菅さんの議論は、この3分類に新しい地平を切り開く可能性があるように思います。
 コメントにしては長すぎですね。また書き直します。記事のタイトル、アイデアって表現は平凡なので変えました。

投稿: satosho | 2006/12/10 18:14

昨日はお疲れ様でした。私が退席した後は盛り上がりましたでしょうか? あのときは非常に後ろ髪を引かれつつ帰りました。
本件については私もエントリーしたいと思いますので、TBさせていただきたくよろしくお願いします。

ところでケア概念を入れるかどうかという話ですが、ケア概念はかなり茫漠としたところもあるので、指し示す内容を整理したほうが良いのではないでしょうか。佐藤さんもすでにお持ちのように、一般的にケア論で出てくるのはメイヤロフの On Caring ですよね。それはかなり広い概念としてケアを扱っています。

→ケアの本質(メイヤロフ)

それからもうひとつ、篠原先生が提出されていた「三つの~」というのは法学議論では常識的な話なのかと思われますが、私にはわかりませんでした。またお教えいただければ幸いです。

投稿: ながわ | 2006/12/10 13:17

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