障害者権利条約:政府が署名決定
この署名は、将来的に批准する意思があることを国際的に示す行為で、政府は批准に向けて国内法の整備をする意思を閣議で決定したことを意味します。もっとも条約の内容の一部を留保して批准することもありますので、全面的に批准するかどうかは、不明です。
障害者権利条約:政府が署名決定国内法整備必要に
政府は28日午前の閣議で、障害者が就職や教育で受ける差別を撤廃し、社会参加を促すことを目的とした「障害者の権利条約」に署名することを決定 した。訪米中の高村正彦外相が同日深夜(日本時間)ニューヨークの国連本部で署名する。今後、同条約の早期批准に向け、障害者差別を禁じるさまざまな国内 法整備を求められる。
この条約は昨年の12月に国連総会で採択されています。全50条ですでに仮訳がインターネットで入手できます。
「川島聡・長瀬修 仮訳(2007年3月29日付訳)」
これまでの経緯については、民間によるものがこちら
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/index.html
外務省によるものがこちら
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/shogaisha.html
外務省の正式訳はまだのようです。訳にも、なかなか微妙なところがあるのでしょう。でも各条文見出しの仮訳は外務省サイトにありました。
(参考)条文構成
(注:見出しについては暫定訳)
- 前文
- 第1条:目的
- 第2条:定義
- 第3条:一般原則
- 第4条:一般的義務
- 第5条:平等及び非差別
- 第6条:障害のある女性
- 第7条:障害のある児童
- 第8条:意識の向上
- 第9条:アクセシビリティー
- 第10条:生命の権利
- 第11条:危機のある状況
- 第12条:法の下の平等
- 第13条:司法へのアクセス
- 第14条:身体の自由及び安全
- 第15条:拷問又は残虐な、非人間的なもしくは品位を傷つける取り扱い又は刑罰からの自由
- 第16条:搾取、暴力及び虐待からの自由
- 第17条:人格の完全性の保護
- 第18条:移動の自由
- 第19条:自立生活及び地域への包含
- 第20条:個人のモビリティー
- 第21条:表現と意見表明の自由、情報へのアクセス
- 第22条:私生活の尊重
- 第23条:家庭及び家族の尊重
- 第24条:教育
- 第25条:健康
- 第26条:ハビリテーション及びリハビリテーション
- 第27条:労働と雇用
- 第28条:相当な生活水準及び社会保障
- 第29条:政治生活及び公的生活への参加
- 第30条:文化的生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加
- 第31条:統計とデータ収集
- 第32条:国際協力
- 第33条:国内的実施とモニタリング
- 第34条~第40条:国際的モニタリング
- 第41条:寄託
- 第42条:署名
- 第43条:締結に対する同意
- 第44条:地域的統合機関
- 第45条:効力発生
- 第46条:留保
- 第47条:改正
- 第48条:廃棄
- 第49条:アクセス可能な形式
- 第50条:正文
- 選択議定書(個人通報制度、調査制度)
障害に基づく差別を禁止していますが、内容も広汎ですし、不利益取扱の禁止だけでなく「合理的配慮」を行う義務もあります。実施状況を監視するための監視機関の設置も盛り込まれています。今後、この条約の内容に見合った国内法の整備が必要です。さしあたり障害者基本法の見直しは、必須でしょう。
ふたたび毎日の記事です。
条約は20カ国が批准した時点で発効されるが、28日までに批准したのは5カ国。外務省は「障害者の人権を完全に確立するために意義のある条約だ。国内法を整備し、早急に批准することを目指したい」としている。
千葉県の条令は、この条約に先立って制定されているのです。千葉はすごい。
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