信託業法の改正4(終)
改正信託業法に対する日弁連意見は、改正信託法の趣旨を生かして、あまり光が当たらなかった民事信託分野、とくに福祉信託
に着目して、そこを橋頭堡にしつつ、信託業法の硬い扉を開く努力をしていると思える。それは、とても貴重である。信託業界と弁護士会の間で、職域争いが行
われているわけであるが、これまでの業法があまりに閉鎖的であったのであるから、市民ニーズからみれば弁護士会意見への賛同が多いのではないかと予想す
る。もっとも民事信託の担い手は弁護士に限る、というする主張だとすれば異論もあるように思うし、国民各層の納得も得られないだろう。
ところで、この職域争いは、信託業法だけでなく弁護士法72条の問題も含んでいる。それは信託業界が行っている「いわゆる遺言信託」である。ここにいう
遺言信託とは、信託法にいう遺言信託ではなく、信託銀行などが行う遺言関連サービスである。遺言作成に伴うサービスとして信託銀行などがひろく法律相談に
応じしているが、これは弁護士法72条違反ではないかとかねてから弁護士会との間で摩擦があり、平成6年2月22日に日弁連と信託協会の間で情報連絡会が
継続的に開かれている。弁護士法72条但書である「他の法律によって認められる場合」の法律事務にこの信託銀行の「いわゆる遺言信託」サービスが入るのか
どうか、管理人にはよくわからないのでなお調査が必要であるが、上記信託業務の扱い如何では、日弁連と信託業界の間で、この問題の再燃がありうるであろ
う。
ちなみに日弁連は今年7月13日に特別研修会を開き、「新しい信託法の概要と信託の活用法」と題する講演会を行った。そこへ登壇した弁護士講師の方々が
異口同音に、福祉信託に言及されていたことが記憶に新しい。福祉信託を信託業法改正の突破口にしようという弁護士会の戦略が見えてくる。信託銀行であれ弁
護士会であれ、いずれにせよ知的障害者とその家族のニーズに応えてくれるほうを応援したいところである。そして、どちらもこのニーズに応えないのであれ
ば、業法規制自体を廃止してほしいぐらいである。
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