親心の記録
これは船橋育成会の権利擁護委員会のニュースレター「ウエルカム」というものに、今年3月ごろ掲載されたものです。実際に掲載されたものを少し訂正しています。
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「親心の記録」
自分の子供のことは、親が一番知っている。親であれば、多かれ少なかれ、誰でもそのように思っているでしょう。しかし、やっぱりわからないなあと、その同
じ親ごさんご自身が、同時に思うこともしばしばです。子供の理解についての自信と不安、どのような親もこの両様の心の動きを抱えながら子供と接していま
す。子供に障害のあるなしに関わらない話だともいえましょう。
そもそも、子供の理解の前に、自分自身をどれほど理解できているのか、ま
た、親ごさんご自身が、自分の人生設計をどれほど明確に立てておられるのか。私自身についていえば、能力を超える仕事を請けてしまったり、自身過剰な行動
をして落ち込んでしまったりすること日常茶飯事ですし、いつも出たとこ勝負で生きていていますし、年甲斐もなく浴びるほど酒を飲んだりして、体のことなど
なにも考えていないいい加減な人生を歩んでいます。とてもヒトサマのことをあれこれ言える立場にありません。
自分もわからない、子供の
ことも分からない、もともと他人である配偶者のこととなるともっと分からない、しかし、時間だけは確実に流れてゆく。いつかは子供と別れる日が来るであろ
うことは、それなりに理解している。そのとき自分と子供は、どうなるのだろう。障害のあるなしに関わりなく、世の中の親ごさんが等しく抱く不安ですが、障
害のあるお子さんを抱えた親御さんには、とくにこの思いが強いように思います。それが、成年後見への高い関心に繋がり、遺言や信託、年金制度への興味を引
き出しています。
こうした社会制度への関心を持つことはもちろん大切なことですが、なかなか理解するのが大変です。理解しても、かなら
ずしも自分のニーズにあっているかどうかも分からない。制度として欠点もある、いつ改善されるのかも分からない。そんなことを聞いて、ますます不安を募ら
せる、そんなご家族も多いのではないでしょうか。
でも、不安ばかりを抱いていても仕方がない、制度に頼る前に、まず自分の周りでできる
ことからはじめよう。そんなお考えをお持ちの親御さんが確実におられます。船橋でもそんな活動が始まりました。「親心の記録」です。親の子供への思い、子
供の環境、個人誌、そしてできれば財産関係も。「イマ」分かる範囲で、書ける範囲で、できるだけ書いてみよう、そんな冊子が船橋育成会で作られたのです。
親心の記録は、すばらしい内容になっています。いきなり全部の項目を書ききることは難しいでしょう。でも良いのです。一部分だけでも書いておくと、たとえ
ば、成年後見などの制度を利用するときにとても役立ちます。なんど書き直してもいいものです。法的な意味はもちませんが、それゆえ逆に、自分の思い通りに
書けばいいのです。
こうした試みは、お隣の市川では、「心の遺言ノート」と題して数年前から始まっていたようです。自閉症協会では「意
向書」と題するものが2006年に出版された「自閉症ガイドブック 成人期編」に掲載されています。それぞれ特色を出していますが、船橋育成会のものは、
もっとも詳細かつ念入りに項目やスペースが考えられていることでしょう。これを書くことで、なにかあったときの備えに事実上なることは確実です。そして、
それ以上に、いまの自分、そしてお子さんの状態を再確認できるというとても大切なメリットがあると思います。私もチャレンジしてみたいと思います。みんな
で書き方の工夫をする会合を開くのもいいと思います。この冊子が広く活用されることを大いに期待していますし、船橋から全国に発信したい試みだと思ってい
ます。
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