腐敗・虐待・信用
12月に入った。一年の進行が早い。としみじみ思いつつもまた先日の11月22日シンポの残像を引きずっている。先日紹介した当日の模様に、少し付け加えたい。
それはタイトルの三つの言葉である。それぞれこの言葉を用いた発言が意味深で考えさせるものがあった。
「活動は3年で腐敗する。」
シンポの最初の登壇者の発言である。なかなか味なところから入るもんだなあと感心した。なぜか。それは22日のわが法人主催のシンポは、法人の活動3年の区切りをつけるためのものだからである。その記念シンポにいきなり「活動は3年で腐敗する」である。
発言者の趣旨は、「だから、3年でやめろ」ということではないらしい。常に学習を続けること、学びながら自己改革を続けるが必要だ、というものであっ
た。11月22日は7時間も勉強したのだから、学習という点では実績をつけたような気もするが、この発言は心にとめなければなるまい。
「虐待された人と虐待をした人の両方への支援が必要」
虐待防止法は必要かという論議のあいだに、すっと入った言葉である。うかうかっとしていると聞き逃してしまう。
虐待された人を救出し、した人を糾弾する、そのための通報システムを整備する、そこまでの議論はいたるところにある。しかし虐待をしてしまった人々への
対応をどうるすのか、糾弾して社会から葬り去るなどという単純な勧善懲悪発想では、イタチごっこが続き、なんの問題解決にもならない。
以前、ここでも紹介したアメリカの児童虐待対応では、虐待をした親に対する支援が制度に組み込まれていて、家族の再統合の可否が判断されている。それを
敵対的な司法システムの中で進めることに、なんともアメリカらしい姿を感じたところであるが、虐待をしてしまった人への支援があることは、やはり参考にな
る。日本で虐待問題を考えるときに欠かせない視点だろう。
加えて、虐待が起きる前の予防策が必要である。いまそこが不安な状態になっている。社会・家族の疲弊が進み、家庭でも職場でも人に対して優しく接するこ
とが難しくなっている(ように思える)。アメリカに比べて社会的疲弊度は、まだましだと思えたのは少し前までで、どこにいっても暗い話ばかりだ。そんな話
をふと思ったら、シンポの最後の方で次の言葉が飛び出した。
「福祉の信用がなくなっている」
この発言、なんとはなしに会場全体が共感を抱いたように思える。しかし、少し考えてみると何に、どうして信用がなくなっているのか、わからない面もなく
はない。このブログを書くにあたってあらためてあれこれ考えてみたが、わたし自身、そうだと思いながらも明確にならない。
わたしは、前から公に飛び交っている「コトバ」や「イメージ」と目の前の、あるいは身の回りの現実との乖離があって、その落差が不信感を呼んでいると思っているのであるが、うまく表現できない。
措置から契約だといいながら、ちっとも現実は契約らしくなく、自己決定の尊重といいながらちっとも自己は尊重されていない。地域生活がすばらしいと言わ
れながら地域の抱える問題はちっとも改善されいないように見える。地域権利擁護事業が自立支援事業に変わり、通所施設や入所施設の呼び方が変わり、グルー
プホームがケアホームに、自立生活訓練施設が登場し、要支援だ行動援護だとコトバがくるくる変ってくる。そういえば所管は違うが養護学校も特別支援学校に
変った。サービス管理責任者だコーディネーターだとカタカナ言葉が氾濫し(コミュニティフレンドもそうですね・苦笑)、全体を理解するのが難しい。行政も
よく分かっていないのではないかとの発言がシンポ冒頭に実はあったのであるが、立場上、行政官は分かっていないとは言えない。
そんな中で、コトバやイメー
ジだけを先行させて、人々を意図的に誘導しようというメディア操作がないか。不信感を持ってみればきりがない。しかし、なんだか信用できない。眉唾物だ、
そんな意識が福祉の世界に拡がっているのではないか。
これは、福祉の領域だけでなくて、医療や教育、司法などいろんな世界で進んでいるのではないでしょうか。そこを乗り越える力を、ひとりひとりの中に醸し
出すようなコトバや現実が欲しいところで、今回の私達のシンポもそうした営みの一つであったと理解したいのであるが、そのようなコトバを明確に書くことができな
いでいる。あまり大風呂敷を広げるのも「信用をなくす」ので、ここではこの程度にしておこう。
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コメント
江原さん、おほめいただき、こちこそありがとうございます。元気がでます。
ラポールは便利なところですねえ。沢山の方のご参加に驚きました。これからもちょくちょくお立ち寄りください。ラポールにも機会があればまたお邪魔するつもりです。
投稿: satosho | 2008/12/08 09:39
はじめまして。
12月4日に横浜で開かれたシンポジウムに参加した者です。
お話や、昨年横浜でされた講演録が非常に面白く
ためになるのでうれしいです。
ブログやホームページも読みごたえがあるので
少しずつ拝読したいと思っています。
ありがとうございます。
投稿: 江原 | 2008/12/08 03:51