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2009/09/24

法科大学院の現状?

新聞報道で散見する法科大学院関連の記事にはピンぼけというか、オカド違いと思えるものが多いが、下記の朝日の記事は現状をよく伝えている。
「法科大学院 多すぎる? 司法試験合格者、前年下回る」(9月21日朝日)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200909210120.html

 新司法試験の合格者数が、初めて前年を下回ったことを受けて、関係者の意見を拾っている。以下、同記事から。

 合格者「2043人」。昨年を下回る人数に、どの法科大学院幹部も「まさか、減るとは……」と驚きを隠さなかった。

うーん、驚いた人もいるとは思うけど、「法科大学院幹部」って表現の方に驚いた。誰のことなんだろう???

 「10年ごろに3千人」とする政府計画を目指し、今年の合格者の目安は2500~2900人だった。しかしほど遠い結果で、計画達成は困難になった。

計画を達成するなという政治的主張がでているのだから、予想されたことですね。

 厳しい結果が続き、文部科学省は各校に定員削減を促す指導を強めている。「定員」という分母を減らし、合格率を高める狙いだ。法科大学院協会の今年の調査では、全74校のうち65校が11年度までに削減を検討。現在5765人の総定員は1千人程度減る見通しだ。

 ただ、今春の入学総数は4844人で、削減の実質的意味は乏しい。文科省幹部は「役割を果たせないところには、退場してもらうのも仕方ない」とし、統廃合・再編を促す考えだ。

1000人程度減らしたところで、人生を誤る確率は50%以上なんだから、よほどのリスク負担能力のある人でないと、法科大学院なんて受験しないでしょうね。正直、法科大学院受験者の質は下がっています。

 法科大学院の理念は、「多様な背景を持った法曹を送り出す」ことだった。

はい、そうでした。

 その理念が崩れかけている象徴が、大学で法律を学んでいない人向けの未修者コース(3年)修了者の合格率低迷だ。未修者は、社会に出た後に試験を目指す人の割合が高く、「優秀な幅広い人材」に合致するはずだった。ところが、主に法学部出身者向けの既修者コース(2年)修了者の合格率が38.7%だったのに対し、未修者は18.9%。このため社会人が敬遠する悪循環も指摘されている。合格実績で評価される大学院側も、未修者より、既修者を重視する方向にシフトしている。

社会人から受験を敬遠され、法科大学院側も既習を重視し、双方の思惑が一致してどんどん悪循環が進みますね。

 今月14日にあった中央教育審議会(文科相の諮問機関)法科大学院特別委員会で、委員から新司法試験そのものへの不信や、試験を所管する法務省への不満が相次いだ。法科大学院による法曹養成制度と新試験は、受験テクニックに走りがちの旧試験への反省から生まれたからだ。

合格者数に制約があると、どんなに制度を工夫しても、受験テクニックに走る学生がでるのは止められないでしょう。

 法務省幹部は「最低限の質が保てない以上、合格者数は増やせないだろう」と、大学院の教育を問題視する。その言葉を裏付けるように、法曹資格を得るため司法研修所で受ける最終試験の不合格率は上がっている。

この議論が一番わからない理屈ですね。不合格率が高いのであれば、教育機関の質が問われるのが普通の感覚のように思います。つまり問われるのは法科大学院の教育の質ではなくて、司法研修所の教育の質のはずなのですが、そういう議論にならないところが政治的な話です。「あれだけ合格者を絞っておいて、司法研修所はまじめに教えているのかね」という意見がでないんだなあ、この国では。つまりは、合格者を、いうところの「最低限の質」で判断しているわけではなくて、政策的などんぶり基準で判断していることを自白しているような議論です。

 実際、関東地方の大学院で教える弁護士は「法律知識以前に、日本語の読み書きに問題がある学生が相当数いる。絶対に受からないと思いながら教え、進級させている。どんなに改革を進めても合格者は2千人程度が上限ではないか」と明かす。

この意見はそうだと思う。ただ、そうした学生は試験に実際合格していない。従って前項の話と結びつかない。

 ただ、特別委委員でもある法科大学院関係者は「質の低下というが、新しい法曹に求められている『質』は、以前とは違うはずだ」と反論。合格実績が著しく低い大学院への「抜本的措置」の必要性を認めつつも、試験信仰への逆戻りを警戒する。

これは同意できる意見です。

 02年3月に閣議決定された「3千人計画」は最終的に法曹人口を5万人にする目標値となっているが、「算出根拠があいまい」との批判がある。急増する弁護士数に見合う仕事が確保できていないこともあり、日本弁護士連合会は今春、数年間、昨年並みの合格者数(2千人程度)を維持するよう提言した。

これはなんでしょうね。2002年当時の日弁連と現在の日弁連は、違う日弁連なのでしょう。当時は3000人で同意していたハズなんだけど。それはともかく、では、2000人の算出根拠はなんなんだろう。ようするに既得権益の確保だけでしょう。国民はとっくに見透かしているでしょうね。

 新政権で計画が見直される可能性もある。就任したばかりの千葉景子法相は18日の会見で、「(10年ごろという)目標は難しい。多少の軌道修正が必要になるか、現場の実情を聞きながら検討したい」と述べた。

なにはともあれ、期待しましょう。

 ある中教審委員は「法曹界と文科省、大学院がそれぞれ責任をなすりつけ合っているのが一番不毛。司法制度改革の理念に立ち返り、法曹養成教育と試験の連携を深めていくことが重要だ」と話した。

きわめて見事なマトメです。でもどうするのかは見えてこない。前にも書きましたが、国民にとって必要な法曹はどうなのか、という目線から見たとき、この数年のどたばたで養成された(養成される)法律家や旧制度で養成された既存の法律家のどちらが「質」が高いのか、という話はあまり意味がないように思います。国民は、とにかく法曹資格を持った人と付き合うことしかスベがないわけですから、法曹資格を持った人を現場でどう「再養成」するか、その方法を考えた方がよいように思いますね。
手前味噌になりますが、権利擁護の領域は「再養成」のフィールドとして期待が持てるように思います。福祉の世界には、ご本人、支援者含めて、良い教師が沢山いますから。


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