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2009/10/28

そよ風の配達人 いわき編

 先日、いわきに行ってきました。またぞろ権利擁護関係の講演を依頼されたためで、福島県には足を踏み入れたことがないので、どんなところがこちらも期待していました。ちょっとスケジュール的には立て込んでいるので行き帰りのスーパーひたちでは、往復グリーンを張り込みましたが、上野駅構内で安い切符を買うことができたのでご機嫌です。

 さて、私の講演の中身は横に置いておいて、いわきには「そよ風ネット」という有名な権利擁護支援団体があります。今回お招きをいただいのも、この団体主催 の会合なのですが、地元の行政や福祉関係者と密に連携しながら障害者や高齢者の生活支援を行なっています。その支援のメインが財産管理契約。知的障害のあ る方や高齢の方と契約を結んで年金の管理サービスをしているのです。その数は200人を越えるといいます。

 この手のサービスには社協の地域福祉権利擁護事業(現・日常生活自立支援事業)がありますが、さかんに利用されているとはいえません。理由はいろいろあるの でしょうが、主たる要因は、契約審査会というコワイ委員会がどこの社協にもあって、そこでサービス申込者の契約能力を審査するところに潜んでいます。もともと契約能力の 低下した方を対象とするサービスですが、契約ベースで仕組みが作られていますので、契約能力がないと利用できません。で、この委員会のメンバーがどこまで 固いことをいうかで、利用が進かどうかが決るのですが、世の中、固い人が多いようで、契約能力の低下した方と契約してよいと言う人があまりいないのです。 もともと仕組みが矛盾しているのですね。法律のしくみと福祉の想いが、完全にすれ違っている、あるいは相互無視でできていることが原因でしょう。

 では、成年後見を使ってこのサービスを利用すればよいのでは、と思うのですが、成年後見を使う人は地域福祉権利擁護事業を使う必要がないと考えられていて、これまた財産管理サービスを使えないのです。

 というわけで年金や日々の金銭管理で困っている障害者や高齢者は多いのですが、社協が使えず、結局、施設や家族が管理する、そこへ不祥事が起きる、という事態が登場しているわけです。

 全国の社協でも問題は認識されているようですが、基本的な制度矛盾があるので、なかなか名案がでないようです。基礎構造改革が生み出したものは、契約ベースの福祉ですが、契約についての配慮が足りなかったと言っていいでしょう。

 さて、「よそ風ネット」です。知的障害者や高齢者との契約にあたっては、ご本人に契約内容を理解してもらうためにいろんな工夫を重ねています。また金銭管 理をしっかりするために金融機関との連携を含めて工夫もあるようです。そしてこうした工夫を支えるものが、知的障害があっても、高齢であっても、その人が もっている現有能力でもって契約できるように支援するという考えです。この考え方が、現在の日本には決定的に不足しているように思うのですが、いわきでは 着実に生きているのです。ほんものののノーマライゼーションの活動に触れた想いがします。

 ところで、懇親会でビールと焼酎をいただき、かなり私も判断能力が低下したころに、遅れて男性がひとりやってきました。主催者の方が「配達すんだの?」と声を掛け、わたしに「彼は、配達を担当しているです」と説明されました。

 なんの考えもなく「あ、そうですか」と応じたものの、「あの人元気だった?」とか「喜んでいた?」とかいう会話が掴めず、「いったい何を配達してるんですか」と聞いて、かえって来た答えが、「お金です」。

 毎日30人ぐらいの人に、お金を届けるサービスを提供しているわけです。日常的な金銭管理サービスですからありうる話ですね。で、お金を届けるときに、そ の方の生活の様子もついでに見てくる、そんな活動が毎日のように繰り返されているわけです。金銭管理と見守り活動が組み合わさった活動だなあ、と感激して 焼酎を飲み過ぎたのでした。。

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