特別縁故者への財産分与
お亡くなりになった方に相続人がいない場合は、ご存じのように相続財産管理人が選任され、相続人を探して誰もいなければ、相続財産は国庫帰属となる。しかしその前に特別縁故者(民法958条の3)の申し出があれば、家裁が決定で財産の分与を行う。
あんまり例がないだろうなあと思っていたが、平成20年に二つの決定例が報告されていた。最高裁データベースでは見ることができない。
(3時間ほど前にアップした文章を書き直しました)
大阪高裁 平成20年10月24決定 家月 61巻6号99頁
事案の概要:被相続人の父の妹の孫である申立人Aとその配偶者である申立人Bからの相続財産分与申立事件について,申立人Bは被相続人の老人ホーム入所 時の身元保証人や成年後見人となったほか,申立人らは遠距離にもかかわらず多数回にわたり老人ホームや入院先を訪れて,親身になって被相続人の療養看護や 財産管理に尽くした上,相当額の費用を負担して被相続人の葬儀の主宰や供養を行っている事情の下においては,申立人らは被相続人の通常の親族としての交際 ないし成年後見人の一般的職務の程度を超える親しい関係にあり,被相続人からも信頼を寄せられていたものと評価することができるから,民法958条の3の 特別縁故者に該当するものと認められ,その他一切の事情を考慮すると,動産のほか預金約6283万円の相続財産のうち,Aに対し動産及び500万円を,B に対し500万円をそれぞれ分与することが相当である。
鳥取家裁 平成20年10月20日決定 家月 61巻6号112頁
事案の概要:申立人(被相続人の又従兄弟の配偶者)からの相続財産分与申立事件について,申立人の夫が被相続人の老人ホーム入所の際の身元引受人となっ ている間は申立人も相応の協力をしたものと推定され,夫が死亡した後は自ら身元引受人となり身辺の世話をしたほか,被相続人の依頼により任意後見契約を締 結するなど被相続人の精神的支えとなっていたことが窺われること,被相続人の死亡後は葬儀や被相続人家の墓守をしていること,被相続人は有効な遺言の方式 を備えていないものの,申立人に相続財産を包括遺贈する旨のメモ書きを残していることなどを考慮すると,申立人は民法958条の3の特別縁故者に該当する ものと認められるところ,分与額については被相続人の申立人に対する包括遺贈の意思が確定的なものとなっていたとはいえないこと,申立人は被相続人の相続 財産の形成,維持に寄与したものではないことを考慮して,預金約2500万円の相続財産のうち,600万円を分与するのが相当である
大阪高裁の事例は、成年後見人を特別縁故者と認めた例である。判タ1305号に解説が掲載されている。
成年後見人とはいえ、遠い親族の方のようであり、8年間の間、後見人としての報酬請求をしておらず、葬儀費用も負担していたようである。死後の報酬請求という色彩が濃厚ということになろうか(奥
さんも一緒に分与を受けているが、一緒に面倒を見ていたことに変りはないだろう)。一審の京都家裁は、300万を認めたが、大阪高裁で増額されたわけであ
る。
あんまり事例のない領域なので、なるほどねえ、と参考になる。ただ、上記2判例は、いずれも高齢者の事例である。
他方、障害者福祉の世界では、施設関係者から親御さんが死亡してご本人の契約者がいないので困る、という声がよく聞こえてくるが、身よりのないご本人が死亡したとき
に、その財産をどう処理したらよいのか困る、という声は聞こえてこない。少なくとも障害者年金の口座ぐらいはあるはずだが、判例のデータベースにも障害者の相続財産を巡って特別縁故が問題になった例をまだ見たことがない。
いったい、身寄りのない知的障害者が亡くなったときに何が起きているのだろうか。体調が良くないから、やはり人間が疑心暗鬼になっているのかもしれない。きっと施設のスタッフが相続人を一生懸命捜して、それでもいなければ相続財産管理人の選任申立をして、国庫帰属の手続を熱心にやっておられるのであろう。。。そうだよねえ。。。どうなんでしょう。。。そんな話はあんまり聞かないけど、、、でないとすると。。。どうなんでしょう。
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