マスメディアは、おもしろがって弁護士の不祥事やら法科大学院の低落傾向などを報道しています。「だから、どうなの」と辟易することが多く、あまり対応したくないのですが、ちょっと気になったので、3つ一挙に掲げます。弁護士さんなので、いずれも報道の実名で掲げます。
京都の弁護士さん
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P20100423000202&genre=C4&area=K00
事件放置、無断で控訴取り下げ… 京都弁護士会が弁護士に退会命令
2010.4.23 16:14 京都弁護士会は23日、受任した訴訟を放置したり、無断で控訴を取り下げたりしたなどとして、同会所属の谷角浩人弁護士(51)を退会命令の懲戒処分にしたと発表した。処分は21日付。
弁護士会によると、谷角弁護士は平成15年4月、京都市の男性から交通事故の損害賠償請求訴訟を受任したが、提訴せず放置して請求権を消滅させた。また、18年1月、京都市の別の男性から民事訴訟の控訴審を受任したが、無断で控訴を取り下げるなどした。
谷角弁護士は懲戒委員会などの審査に「体調不良で出頭できない」と回答したという。16年と20年にも、事件を放置したとして業務停止6カ月などの懲戒処分を受けた。
体調不良で懲戒手続きに応じられないようでは、裁判所の厳しい期日指定に苦しむ弁護士業務はできないと思います。過去にも2回業務放棄で懲戒を受けておられるようですね。退会命令は仕方ないでしょう。それにしても、体調不良などという理由で懲戒手続きを蹴飛ばした弁護士がかつていたのでしょうか。私は初めて知りました。
大阪の弁護士さん
弁護士が自己破産 負債3億円…未処理の依頼20件
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100423-OYO1T00807.htm?from=main3
大阪弁護士会所属の村上充昭(みつあき)弁護士(66)が自己破産したことがわかった。破産管財人によると、負債総額は約3億円に上るとみられ、着手金を受け取りながら処理していない依頼も約20件あるという。
大阪地裁が3月3日、破産手続きの開始を決定。弁護士法に基づき、日本弁護士連合会が同27日付で弁護士登録を抹消した。
あまり知られていないのかもしれませんが、弁護士は破産すると資格を失います(弁護士法7条)。だから、少なくとも自己破産なんてしないのですが、した先生がいたのですねえ。これも私は初めて聞きました(過去にいたかもしれません)。
名古屋の弁護士さん
愛知の着服疑い弁護士、自殺
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010042801000196.html
依頼人の口座から約6500万円を着服したとして、愛知県弁護士会が懲戒処分を検討していた森下敦夫弁護士(63)が自殺していたことが28日、分かった。
常滑署によると、森下弁護士は24日早朝、常滑市の路上に止めた車内で死亡しているのが見つかった。車内に練炭があり、遺書めいたメモが見つかったことから、同署は自殺とみて調べている。
森下弁護士は1998年、同県の女性の相続財産管理人に選任され、口座にあった約6500万円のほぼ全額を2004年8月までに引き出し着服した疑いがあり、弁護士会が懲戒を検討していた。
着服からの時系列からみて、この事件は、昨日今日の話ではなく、地元ではもっと早くから動きがあったのでしょう。それにしても自殺とはねえ。自殺すれば、まあ、刑事手続きは終了するでしょうし、懲戒手続きも終了するとは思いますが、なにやらおどろおどろしていて、真相解明の道を自ら絶ったという意味では弁護士らしくない・あるいは弁護士らしい、両方の評価がありうるのかもしれません。しかし、職業としては放棄したことに違いはないです。
以上、3題。これまでの弁護士不祥事の傾向と私は違っている傾向がでているように思いますが、どうでしょうか。弁護士会の手続きにまともに応じない、資格放棄を覚悟で破産申立、さらには自殺による職業放棄。年齢的にはいずれも50代から60代。旧司の古き良き時代を過ごした先生方です。この年代の先生方は、もともとあまり弁護士倫理には関心がないとは思っていましたが、弁護士としての職業観については、かなりの自尊心と執着心をお持ちであると思っていました。ところが、違っていたのですね。
3例だけでは即断はできませんし、私の知り合いの先生方は、それはもうすばらしい先生方が多くて、弁護士という仕事に誇りを持っておられる方が多く、弁護士の職務を放り投げるようなヒトがいるとは信じられないのですが、この3例の方は放棄しているように思います。
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