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2010/06/09

成年後見法学会で聞いた話

この間の5月30日に法政で開かれた成年後見法学会で聞いたことは、さすがに学会らしくて、いろいろ参考になった。その中で最近の動きとして議論されたものをいくつか書いておこう。

まず立法動向
私の認識では、成年後見制度のそのものの改正は民法の改正であり、どうも動かないようだし、選挙権などの欠格条項の見直しもぱっとしない。残念ながら動きが鈍いなあと思っていた。

ところが、家事審判法の改正に絡めてつぎの意見が出ているという。
1)鑑定省略を原則化してはどうか。
2)申立の取り下げを制限してはどうか。

いま、後見申立の最新統計では、鑑定を省略しているケースが約7割ある。法の仕組みは鑑定を行うのが原則だろうけど、申立人の意向と裁判所の事情が重なり合って鑑定省略がどんどん広がっている。みんなが喜ぶのなら、これを原則化しようではないか、そんな提案らしい。
 ここで「みんな」というのは、本人を除いての話である。本人面接もしない、施設にも訪れない、どんな環境で暮らしているのかも分からないまま、鑑定も省略して、後見人を選び(最悪の場合、本人のことはまったく知らない後見人が選任される)、その結果、本人の財産は、本人の自由にはならず、選挙権はなくなり、自宅から施設への移動を余儀なくされ(そちらの方が後見人にとって財産管理がやりやすいから)、なにがなんだか訳が分からないまま寂しく死んでいく、、そんな人生の終末をますます促進しそうな提案である。ドイツでは裁判官が必ず本人のところへ会いに行く、と理事長が解説をしていたが、ほんとに日本はどうしてこうなるのか。。裁判官だけの問題ではなく社会全体の関心が低すぎるし、浅すぎる、成年後見バラ色論をいうメディアにあまりにも無批判すぎる、そんな気がしている。人を人として見る目が貧困な為に、あるいは見る余裕がないためにこうなるのかもしれない。このままでは成年後見は現代のウバ捨て山になってしまうのではないか。ここは、ぜひ学会として反対して欲しい。
 もっとも私は、鑑定を省略して早期に後見開始を行うことがすべて悪いとはいうつもりはない。虐待が疑われる案件で、早期の裁判所の介入が必要なケースもある。即日審判の例もあるが、ようは実情がどこまで分かっているか、それにどこまで対応できるか、なのである。それを踏まえたうえで、デフォルトが鑑定省略は、やはりおかしいし、鑑定をするしないにかかわらず、基本は裁判所がご本人の生活環境を把握することが絶対に必要なように思う(いまの裁判所のマンパワーは分かっているが、それは別問題であるといわざるを得ない)。

とここまで書いて、取り下げ制限については、改めてアップしよう。今日は疲れすぎ。

では。

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