権利能力なき社団に対する強制執行(朝鮮総連ビル事件)
6月29日に最高裁が、権利能力なき社団の所有(構成員の総有)にかかる不動産について、その権利能力なき社団に対して債務名義をもつ(勝訴判決)金銭債権者が強制執行をする方法を示した判決を言い渡した。
29日に言い渡して、その日のうちに最高裁データベースに搭載され(商業データベースはまったく追いつけない)、その日の内に北大の町村先生がコメントをブログで書いている。いや早いなあ。
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2010/06/arret-36d8.html
最高裁判決はこちら 最判平成22年6月29日(最高裁データベース)
この事件は、町村先生ご指摘の通り、民訴的にとても興味深い判決です。そして、事実関係的にも実に面白い事件で、マスメディアはそちらの側面で取り上げています。
たとえば毎日新聞の6月30日の記事
朝鮮総連:競売訴訟 総連本部、差し押さえ可能 最高裁「資産認定確定すれば」
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部が入る東京都千代田区の土地建物を差し押さえるため、整理回収機構が登記上の所有者に対する執行文の付与を求めた訴訟の上告審判決が29日、最高裁第3小法廷であった。近藤崇晴裁判長は執行文付与を認めず機構側敗訴とする一方で、「土地建物が実質的に総連の資産と認めた確定判決があれば、差し押さえは可能」との判断を示した。差し押さえ実現に道筋を付ける判決となった。中央本部の土地建物は、総連議長が代表社員を務める合資会社「朝鮮中央会館管理会」名義で登記されている。機構は総連に債権約627億円の支払いを求めた訴訟で全面勝訴したが、土地建物の差し押さえに必要な管理会に対する執行文を東京地裁が付与しなかったため、付与を求める裁判を起こした。
ほかに沢山のメディアが報道していますが、記事が消えないことを祈って西日本新聞をあげておきます。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/181333
この最高裁判決は、結論的には執行文付与を認めなかったのですが、権利能力なき社団である朝鮮総連の所有であることを確認する判決があれば、直接、強制執行ができる、と判断しています。こっちはダメだけど、こういうやりかたがあるよと親切に教えてあげた判決ということになりましょう。
そして、その教えてくれた内容が、承継執行文の付与をもって行うという従来の考え方を否定して、朝鮮総連の所有であるとの朝鮮総連と管理会相手の確認判決があれば、直接、朝鮮総連相手に強制執行ができると判断したのですから、これは画期的な新判断です。なんだか、権利能力なき社団の訴訟上の取り扱いでもやもやしたところが、少し明瞭になったと思います。
なお、この判決の原審については、上智大の田頭章一先生が、判例時報2072号198頁(判例評論616号36p)で解説されています。
ところで、この朝鮮総連ビル、もともと登記名義は管理会だったのでしょうか。ご存じのように、元公安調査庁長官だった人が代表を務める投資会社に名義をいったん移転したとして、緒方元長官が逮捕され、朝鮮総連側の代理人である元日弁連会長の土屋さんとの関連もいろいろ取りざたされたことがあります。
朝鮮総連本部ビル売却問題
いろいろですなあ。
あ、こんなサイトもありました。
http://japanlaw.blog.ocn.ne.jp/japan_law_express/2010/06/post_7c36.html
http://japanlaw.blog.ocn.ne.jp/japan_law_express/2009/03/post_6b48.html
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