2011/03/26

震災時の法律問題の解説サイト

 取り急ぎ、法律関係で出ている動きを紹介します。震災時の法律問題は、法の専門家にとってもなかなか取っつきにくいのですが、いくつかデータが無料公開されています。(11/03/29 Tue)に追加内容あり

■1)新日本法規が、平成18年に発行した「Q&A災害時の法律実務ハンドブック」という本があるようですが、これをテキストベースでインターネット上に公開しています。現在改訂中だそうですが、改訂版も公開してもらえると大変に人々が喜ぶと思います。
「Q&A災害時の法律実務ハンドブック」(2006年発行、新日本法規、関東弁護士会連合会編)HTML版
http://www.sn-hoki.co.jp/shop/zmsrc/qa50593/mokuji.htm
【大目次】
第1章 災害対策関係法
第2章 建物と境界に関する問題
第3章 借地借家に関する問題
第4章 財産、保険、生活に関する問題
第5章 営業に関する問題
第6章 雇用に関する問題
第7章 税金に関する問題
第8章 環境に関する問題
第9章 支援を必要とする人に関する問題
第10章 弁護士等の役割

(11/03/29 Tue)追記:なお、このサイトの内容を簡略化し、かつ今回の震災の内容を追加したものが日弁連のサイトにアップされたようです。

★東日本大震災法律相談Q&A(日弁連)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/data/soudanQ&A.pdf

■2)次に、少し古いデータになりますが、阪神・淡路大震災の経験を踏まえた関西の弁護士さん達がまとめたQAも公表されています。こちらは商事法務。ありがたいですね。

 「地震に伴う法律問題Q&A」(1995年発行、商事法務、近畿弁護士連合会
編)PDF版
http://www.shojihomu.co.jp/0708qa/0708qa.html
【大目次】
第1 借地法関係
第2 借家法関係
第3 罹災土地借地借家臨時処理法
第4 持家をめぐる諸問題
第5 ローン債務などの関係
第6 マンションの区分所有と賃借
第7 建築請負関係
第8 不法行為関係
第9 各種の取引
第10 銀行・証券取引法関係
第11 登記・会社法その他
第12 損害保険関係
第13 生命保険関係
第14 身分法関係
第15 消費者問題
第16 雇用法に伴う問題
第17 外国人の諸問題
第18 災害と税法
第19 災害特別法
第20 震災後の「まちづくり」関係
第21 行政庁の被災者支援
第22 阪神・淡路大震災に伴う特別立法



■3)最期に、仙台の弁護士さんが作成された震災関係の法律問題Q&Aです。これはリアルタイム解説ですね。
http://morikyo-lawoffice.mo-blog.jp/shinsai/

■4)もっと個別の法律相談が必要であれば、日弁連などが無料の法律相談を実施しているようです。下記に受付の電話番号などが掲載されています。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/special_theme/saigaihhukou.html

これからも有用な情報があれば、ここで紹介していきたいと思っています。

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2010/07/03

権利能力なき社団に対する強制執行(朝鮮総連ビル事件)

6月29日に最高裁が、権利能力なき社団の所有(構成員の総有)にかかる不動産について、その権利能力なき社団に対して債務名義をもつ(勝訴判決)金銭債権者が強制執行をする方法を示した判決を言い渡した。

29日に言い渡して、その日のうちに最高裁データベースに搭載され(商業データベースはまったく追いつけない)、その日の内に北大の町村先生がコメントをブログで書いている。いや早いなあ。

http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2010/06/arret-36d8.html

最高裁判決はこちら 最判平成22年6月29日最高裁データベース

この事件は、町村先生ご指摘の通り、民訴的にとても興味深い判決です。そして、事実関係的にも実に面白い事件で、マスメディアはそちらの側面で取り上げています。

たとえば毎日新聞の6月30日の記事

朝鮮総連:競売訴訟 総連本部、差し押さえ可能 最高裁「資産認定確定すれば」
 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部が入る東京都千代田区の土地建物を差し押さえるため、整理回収機構が登記上の所有者に対する執行文の付与を求めた訴訟の上告審判決が29日、最高裁第3小法廷であった。近藤崇晴裁判長は執行文付与を認めず機構側敗訴とする一方で、「土地建物が実質的に総連の資産と認めた確定判決があれば、差し押さえは可能」との判断を示した。差し押さえ実現に道筋を付ける判決となった。

 中央本部の土地建物は、総連議長が代表社員を務める合資会社「朝鮮中央会館管理会」名義で登記されている。機構は総連に債権約627億円の支払いを求めた訴訟で全面勝訴したが、土地建物の差し押さえに必要な管理会に対する執行文を東京地裁が付与しなかったため、付与を求める裁判を起こした。

ほかに沢山のメディアが報道していますが、記事が消えないことを祈って西日本新聞をあげておきます。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/181333

この最高裁判決は、結論的には執行文付与を認めなかったのですが、権利能力なき社団である朝鮮総連の所有であることを確認する判決があれば、直接、強制執行ができる、と判断しています。こっちはダメだけど、こういうやりかたがあるよと親切に教えてあげた判決ということになりましょう。

そして、その教えてくれた内容が、承継執行文の付与をもって行うという従来の考え方を否定して、朝鮮総連の所有であるとの朝鮮総連と管理会相手の確認判決があれば、直接、朝鮮総連相手に強制執行ができると判断したのですから、これは画期的な新判断です。なんだか、権利能力なき社団の訴訟上の取り扱いでもやもやしたところが、少し明瞭になったと思います。

なお、この判決の原審については、上智大の田頭章一先生が、判例時報2072号198頁(判例評論616号36p)で解説されています。

ところで、この朝鮮総連ビル、もともと登記名義は管理会だったのでしょうか。ご存じのように、元公安調査庁長官だった人が代表を務める投資会社に名義をいったん移転したとして、緒方元長官が逮捕され、朝鮮総連側の代理人である元日弁連会長の土屋さんとの関連もいろいろ取りざたされたことがあります。

朝鮮総連本部ビル売却問題

いろいろですなあ。

あ、こんなサイトもありました。
http://japanlaw.blog.ocn.ne.jp/japan_law_express/2010/06/post_7c36.html

http://japanlaw.blog.ocn.ne.jp/japan_law_express/2009/03/post_6b48.html

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2010/05/22

弁護士バー

一月ほど前の報道である。いまどうなっているのか。
弁護士バーが物議を醸しているのは知っていたが、税理士バーがすでにあることは知らなかった。
二弁の警告は、なんとも大人げないという社会的評価を受けていると思うが、バーだから問題だというより、弁護士でないものと一緒に経営するというところを問題にしているらしい。だか、これも一般企業に弁護士が雇われることと比べてどうなんだろう。なんだか説得力に欠けるところがあるように思う。

弁護士バー:東京・渋谷に開店へ 接客で法律相談はせず

毎日新聞4月3日の記事です。一部省略しています。

 弁護士が酒類を提供しながら接客する「弁護士バー」の構想を表明していた第二東京弁護士会の外岡潤弁護士(29)が3日、東京・渋谷で「リーガルバー 六法」を12日に開店すると発表した。

 飲食代の収益は店の経営会社と外岡弁護士らが設立した一般社団法人が折半する。

 社団法人が収入を得て弁護士と顧客を仲介することについて、弁護士会は昨年、「弁護士や弁護士法人でない者が報酬目的で法律事件を周旋してはならない」との弁護士法の規定に抵触する恐れがあると指摘。バーでの接客も、懲戒処分の理由となる「品位を失うべき非行」に当たる可能性があるとして計画中止を要請していた。

 一方、2月から東京・新宿の飲食店で4回開催された「税理士バー 確定申告酒場」は、税理士会に処分権限がないこともあり問題は生じていない。税理士バーで約20人の無料相談に応じた東京税理士会四谷支部の高橋創(はじめ)税理士は「税理士とは法律が違うので弁護士バーがもめるのは仕方ないと思うが、自分の取り組みではお堅い税理士のイメージを払しょくするのに成功していると思う」と話した。

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2010/05/19

ネットと法律家

日本でもメールやブログで失敗する弁護士さんが多いようですし、メールで書記官にストーカー行為をしていた裁判官もいらっしゃいましたが、事情はアメリカでも同じようです。

下のサイトに最近のアメリカの法曹倫理担当者の懸念が報告されています。
The National Law Journal

いろんなケースが挙げられていますが、笑ってしまったのは、次の話。不幸ごとを理由に一週間ほど期日の延期を検察官が求めたので、それを裁判官が認めたところ、その検察官のFacebook を担当裁判官が見ていてら、葬式に出ているはずの検察官が毎日、飲み会だマウンテンバイクだ、と楽しげな話をかき込んでいたこと。休み明けに、その検察官が法廷でさらに1ヶ月ほどの期日の延期を求めてきたけど認めなかったそうです。そりゃそうだ。

また、刑事の担当事件の被害者の写真を、友人にメール添付で送った弁護士もすごいけど、事務所内のメールをすべて監視しているその弁護士の法律事務所もすごいなあ、という感じですね。

ほかに依頼者の話をブログで書いちゃった弁護士さんとか、事務員採用にあたって性的活動を強要するメールを送る弁護士さんとか、ホンマカイナという話がありますが、日本でもその類の話がありますからねえ。ホンマなんでしょうね。

twitter なんて使っていると、「いまなにしてる」なんてでるものだから、ついついいまの状態を書いてしまうことになるのですが、ちょっと一呼吸置いて書き込んだ方が、法律家の場合はよさそうですね。

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2010/05/13

弁護士は楽観的(アメリカの場合)

481人の弁護士事例を検討したアメリカの研究者の最近の報告です。

オトコがオンナより楽観的な点は、わかるような気がします。
Lawyers' Ability to Predict Case Outcomes: Study Suggests Gender Differences http://bit.ly/abbDB5

 弁護士は、事件の見立てが楽観的なんだそうです。訴訟の結果の予測が妥当だったのは、33%で、44%は、より悪かったようです。この傾向は男性弁護士の法がより顕著だとか。ただしアメリカの話。日本はどうなんだろう。

24%は予想より良かったらしいので、まあ良いんじゃないかとも思いますがねえ。

上記についてのABAの記事 http://ow.ly/17l9me
研究論文そのものはこちらから。http://www.apa.org/pubs/journals/releases/law-16-2-133.pdf

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2010/05/01

弁護士不祥事三題 病気・破産・自殺

 マスメディアは、おもしろがって弁護士の不祥事やら法科大学院の低落傾向などを報道しています。「だから、どうなの」と辟易することが多く、あまり対応したくないのですが、ちょっと気になったので、3つ一挙に掲げます。弁護士さんなので、いずれも報道の実名で掲げます。

京都の弁護士さん

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P20100423000202&genre=C4&area=K00

事件放置、無断で控訴取り下げ… 京都弁護士会が弁護士に退会命令
2010.4.23 16:14 京都弁護士会は23日、受任した訴訟を放置したり、無断で控訴を取り下げたりしたなどとして、同会所属の谷角浩人弁護士(51)を退会命令の懲戒処分にしたと発表した。処分は21日付。
 弁護士会によると、谷角弁護士は平成15年4月、京都市の男性から交通事故の損害賠償請求訴訟を受任したが、提訴せず放置して請求権を消滅させた。また、18年1月、京都市の別の男性から民事訴訟の控訴審を受任したが、無断で控訴を取り下げるなどした。
 谷角弁護士は懲戒委員会などの審査に「体調不良で出頭できない」と回答したという。16年と20年にも、事件を放置したとして業務停止6カ月などの懲戒処分を受けた。

体調不良で懲戒手続きに応じられないようでは、裁判所の厳しい期日指定に苦しむ弁護士業務はできないと思います。過去にも2回業務放棄で懲戒を受けておられるようですね。退会命令は仕方ないでしょう。それにしても、体調不良などという理由で懲戒手続きを蹴飛ばした弁護士がかつていたのでしょうか。私は初めて知りました。

大阪の弁護士さん

弁護士が自己破産 負債3億円…未処理の依頼20件
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100423-OYO1T00807.htm?from=main3
 大阪弁護士会所属の村上充昭(みつあき)弁護士(66)が自己破産したことがわかった。破産管財人によると、負債総額は約3億円に上るとみられ、着手金を受け取りながら処理していない依頼も約20件あるという。

 大阪地裁が3月3日、破産手続きの開始を決定。弁護士法に基づき、日本弁護士連合会が同27日付で弁護士登録を抹消した。

あまり知られていないのかもしれませんが、弁護士は破産すると資格を失います(弁護士法7条)。だから、少なくとも自己破産なんてしないのですが、した先生がいたのですねえ。これも私は初めて聞きました(過去にいたかもしれません)。

名古屋の弁護士さん

愛知の着服疑い弁護士、自殺
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010042801000196.html

 依頼人の口座から約6500万円を着服したとして、愛知県弁護士会が懲戒処分を検討していた森下敦夫弁護士(63)が自殺していたことが28日、分かった。

 常滑署によると、森下弁護士は24日早朝、常滑市の路上に止めた車内で死亡しているのが見つかった。車内に練炭があり、遺書めいたメモが見つかったことから、同署は自殺とみて調べている。

 森下弁護士は1998年、同県の女性の相続財産管理人に選任され、口座にあった約6500万円のほぼ全額を2004年8月までに引き出し着服した疑いがあり、弁護士会が懲戒を検討していた。

 着服からの時系列からみて、この事件は、昨日今日の話ではなく、地元ではもっと早くから動きがあったのでしょう。それにしても自殺とはねえ。自殺すれば、まあ、刑事手続きは終了するでしょうし、懲戒手続きも終了するとは思いますが、なにやらおどろおどろしていて、真相解明の道を自ら絶ったという意味では弁護士らしくない・あるいは弁護士らしい、両方の評価がありうるのかもしれません。しかし、職業としては放棄したことに違いはないです。

以上、3題。これまでの弁護士不祥事の傾向と私は違っている傾向がでているように思いますが、どうでしょうか。弁護士会の手続きにまともに応じない、資格放棄を覚悟で破産申立、さらには自殺による職業放棄。年齢的にはいずれも50代から60代。旧司の古き良き時代を過ごした先生方です。この年代の先生方は、もともとあまり弁護士倫理には関心がないとは思っていましたが、弁護士としての職業観については、かなりの自尊心と執着心をお持ちであると思っていました。ところが、違っていたのですね。

3例だけでは即断はできませんし、私の知り合いの先生方は、それはもうすばらしい先生方が多くて、弁護士という仕事に誇りを持っておられる方が多く、弁護士の職務を放り投げるようなヒトがいるとは信じられないのですが、この3例の方は放棄しているように思います。

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2010/04/18

弁護士人口論は、無意味だと思うけど・・・

最近、弁護士人口と法曹養成に関する議論が、またぞろ再燃している。
新司法試験の合格者を1000人程度まで縮減すべきであると主張する人が日弁連会長になったことが影響しているのだろうが、政府筋と思われるところからは、この日弁連の動きに冷ややかな反応が出ていることが報道され、改革推進派(合格者を減らす方ではない、増やす方である、念のため::日弁連内部の改革派と世間の司法改革派とは、まったく逆転しているとみてよい)からは、3000人の合格者を実現するようにという提言が法務大臣に提出されているようである。

再燃を伝える産経の記事
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100411/trl1004110702000-n1.htm

3000人の実施を提言する意見(最近のものですよ)
http://www.moj.go.jp/content/000036362.pdf

 私が地方の福祉関係者と話したときには、一様に弁護士人口の増加を歓迎している。いままで相談がなかなか難しかったが、最近、若い元気の良い弁護士さんが増えて、とても相談しやすくなった、というものである。
 ところが日弁連会長選挙では、その地方の弁護士さんが増加に反対していて、それが、多数派を弁護士会内部で形成されたということである。

 結局、弁護士人口論については、弁護士会対国民という対立図式になりつつあるのかなあ、とうのが私の見方である。まあ国民を敵に回して弁護士会がどこまで頑張れるのか、国民はこんな問題にあまり興味がないだろうから、意外に頑張れるかもしれない、かも、と思ったり、そうなったら法科大学院教師としてはやや困るなあと思ったり、まあ、いろいろな思いはあるけど、どのみち「まず数ありき」の、あまりまっとうな議論ではないと思っているので、根っこのところではどうでもいいと思っている。

 しかし、2点ほど指摘をしておきたい。

その1) どれだけ弁護士が増えても、国民の司法ニーズは満足することがない。
結局、タダで気軽に相談できる法支援の場所がないと駄目なのである。これはアメリカのように法曹人口が多い国であっても非弁活動への国民的ニーズが根強く存在することから確認できる。

その2) 法曹人口を増やさないで、現行の弁護士法72条をたてに、弁護士以以外の法律業務への関与を否定するのであれば、弁護士会は、日本最大の人権侵害団体であるとの批判を覚悟するべきである。
 財産のない高齢者や障害者の福祉の現場をみればいい。自分たちは担当しない、しかしほかのヒトが担当するのは非弁で禁止する、というのでは、権利擁護はなりたたない。

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2010/01/25

まず数ありきの議論(法科大学院)

法科大学院のニュースが二つほど出ている。
一つは、2010年度の募集定員が5000人を切ったこと。4904人になるらしい。

法科大学院の募集、5千人を下回る 10年度、54校で定員削減

2011年度の定員削減を予定している大学もあるので、この数字はさらに減少することは確実だ。

それでも新司法試験の合格者数が政治的に決められている現状では、まだまだ多いという評価を受けるのだろう。
最近は、「合格者3000人」という話はどこからも出なくなり、当初の旗振り役であった日弁連自体が、会長選挙で、2000人の現状維持か、1500人程度に減らすべきか、ということを争点にしている。

新司法試験の合格者数を巡る議論がそうだとすれば、法科大学院の学生をさらに減らさなければ、低合格率の現状を改善できないから、さらなる削減策を工夫することになる。
次のニュースは、つまるところそういう話である。

法科大学院14校に「イエローカード」 大幅改善求める

2010年1月22日

 法科大学院のあり方について議論している中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)法科大学院特別委員会が、全74校のうち、14校について、教育内容や学生の質の確保などで問題があり、大幅な改善が必要な「重点校」とする調査結果をまとめたことが分かった。その他の12校も、継続的に改善の努力が必要な「継続校」とした。

 文科省は、名指しされた大学院に対し、強く改善を求めるとともに、今後、その達成度によって補助金に差をつけるなどし、大学院の再編・統合を促していく方針だ。


大学の実名を報道機関に公表しての「イエローカード」である。しかも公表時期が入試シーズン。法科大学院の数を減らす政策が「どこかで」決定され、それがかなり強い意思のもとに実行されているのである。
名前をあげられた法科大学院では、「改善」をどのようにするのか。統廃合をしないで生き残るには、結局、合格者を増やすことしかないわけだから「受験指導」中心の教育に走ることになるのではないか。それに対する「イエローカード」がでるのか、でないのか。「まず数ありき」の議論の顛末を見守る必要がある。

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2009/12/31

メディアの弁護士ネタ

 年の瀬に弁護士ネタを一つ:ボ2ネタ経由である。
 不祥事を起こす弁護士は、世評に載りやすいが(※弁護士だけでなく、オエライ職業と思われているものはみんなそうであるが)、とても良いことをした弁護士が世評にのることはあんまり多くない。世間の目というモノはそんなものかもしれない。この記事もそうした世評の一つである。

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2009/11/22

民主党の事業仕分

最近のテレビニュースでご存じの通り、である。これについてメモを書いておきたい。

この営為から脳裏に浮かぶ言葉。
1)主尋問ぬきの反対尋問だけの裁判
2)一部公開で決定過程の実質は非公開
3)手段と目的を取り違えている
;公開は議論の手段であって目的ではない)
4)検察官と裁判官が同一の手続
;あるいは、検察官=財務省が隠れていて立証責任を負わず、被告人だけが立証責任を負う手続(推定有罪の糾問手続)? しかも時間の関係で立証すら満足にさせてもらえない、情けないほど見せ物的な手続である。

このひとつひとつを説明しだすと、とても手がかかるので、またの機会にするしかない。メモというゆえんである。

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