2020/05/10

「訪問介護職員のためのそうだったのか!感染対策」

厚労省が聖路加看護大学の先生に依頼して作ったようですね。

高齢介護が対象になっていますが、訪問系支援職員にすべてに参考になるような気がします。

 

1.動画概要
タイトル:「訪問介護職員のためのそうだったのか!感染対策」

容 1 あなたが利用者宅にウイルスをもちこまない

あなたと利用者がウイルスをやりとりしない

あなたがウ イルスをもちださない
2.動画掲載場所
以下の厚生労働省
YouTube MHLWchannel )に掲載
https://www.youtube.com/playlist?list=PLMG33RKISnWj_HIGPFEBEiyWloHZGHxCc

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2020/05/07

「特別定額給付金事業における成年後見人等による申請・受給の代理に関するQ&Aについて」

標記の事務連絡が総務省から5月2日づけででているようです。

あちこちの法人後見受任団体、例えば我々全国ネットワーク参加団体などで、困惑があったのですが、一つの解釈が示されたと理解していいでしょう。

ダウンロード - e789b9e588a5e5ae9ae9a18de7b5a6e4bb98e98791e4ba8be6a5ade381abe3818ae38191e3828be68890e5b9b4e5be8ce8a68be4babae7ad89e381aee794b3e8ab8be383bbe58f97e7b5a6e381aeqefbc86a.pdf

 

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2011/05/23

2010年度 成年後見統計

標記のデータが最高裁から公表されています。
http://www.courts.go.jp/about/siryo/pdf/seinen11.pdf

それによると2010年1月から12月末日までの全国の成年後見の申立件数の概況は次のようです。ほぼ認容されていますので、昨年一年間だけで24000人の方が選挙権を失ったことになります。

○ 成年後見関係事件(後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件)の申立件数は合計で30,079件(前年は27,397件)であり,対前年比約9.8%の増加となっている。
○  後 見 開 始 の 審 判 の 申 立 件 数 は 2 4 , 9 0 5 件 ( 前 年 は 2 2 , 9 8 3件)で,対前年比約8.4%の増加となっている。
○  保 佐 開 始 の 審 判 の 申 立 件 数 は 3 , 3 7 5 件 ( 前 年 は 2 , 8 3 7 件 )で,対前年比約19.0%の増加となっている。
○ 補助開始の審判の申立件数は1,197件(前年は1,043件)で,対前年比約14.8%の増加となっている。
○  任 意 後 見 監 督 人 選 任 の 審 判 の 申 立 件 数 は 6 0 2 件 ( 前 年 は 5 3 4 件 )で,対前年比約12.7%の増加となっている。


審理期間は、前年度に引き続きやや短縮傾向があると解説されているが、ほぼ横ばいで、全体の93.3%が4ヶ月以内、75.1%が2ヶ月以内で終結している。

申立人と本人との関係は次の通りで、市町村申立が一割を超えました。

申立人については,本人の子が最も多く全体の約37.1%を占め,次いで本人のその他親族が約14.8%となっている。
○  市 区 町 村 長 が 申 し 立 て た も の は 3 , 1 0 8 件 ( 全 体 の 約 1 0 . 3 % )で,前年の2,471件(全体の約9.0%)に比べ,対前年比約25.8%の増加となっている。

本人の年齢構成では、60才以上が全体の7割ぐらいであり、50才代以下が3割である。50代の利用が障害者の利用なのかどうなのか、微妙なところがあるが、障害者の成年後見利用は、ほぼ2割から3割と言われていることをデータ的にも裏付けているように思う。
分からないのは、未成年の利用が0.2%存在することです。この統計は認容事例の統計ですので、未成年に対して成年後見の審判が下りた事例が約60件程度あることになるが、どのような事例でなのでしょうか。成年後見関係事件の統計ですから、まさか未成年後見をここに入れているとは思えないのですし、、、。

鑑定については次のようになっている。ついに鑑定実施が2割を切りました。

○ 後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件の終局事件のうち,鑑定を実施したものは,全体の約17.7%(前年は約21.4
%)であった。
○ 鑑定の期間については,1か月以内のものが最も多く全体の約53.8
%(前年は約52.1%)を占めている。
○ 鑑定の費用については,5万円以下のものが全体の約66.9%(前年
は約63.3%)となっており,全体の約98.8%の事件において鑑定費用が10万円以下であった(前年は約98.2%であった 。


後見人の属性については、次のようです。

○  成 年 後 見 人 等 ( 成 年 後 見 人 , 保 佐 人 及 び 補 助 人 ) と 本 人 の 関 係 を み ると,配偶者,親,子,兄弟姉妹,その他の親族が成年後見人等に選任されたものが全体の約58.6%(前年は約63.5%)を占めている。
○ 親族以外の第三者が成年後見人等に選任されたものは,全体の約41.
4%(前年は約36.5%)であった。その内訳は,弁護士が2,918件(前年は2,358件 ) で , 対 前 年 比 で 約 2 3 . 7 % の 増 加 , 司 法 書士 が 4 , 4 6 0 件 ( 前 年 は 3 , 5 1 7 件 ) で , 対 前 年 比 で 約 2 6 . 8 % の増 加 , 社 会 福 祉 士が 2 , 5 5 3 件 ( 前 年 は 2 , 0 7 8 件 ) で , 対 前 年比 で 約 2 2 . 9 % の 増 加 と な っ て  い  る  。  ま  た  ,  法  人  が  成  年後 見 人 等 に 選任 さ れ た も の は 9 6 1 件( 前 年 は 6 8 2 件 ) で , 対 前 年 比 で 約 4 0 . 9%の増加となっている。


法人後見も増えていますね。最高裁のデータからは、明確にはなりませんが、法人後見と後見・保佐・補助の利用割合、市町村申立と後見・保佐・補助の割合を比較すれば、全体の割合より、保佐・補助の利用割合が高いはずです。これは、私のまわりの実感です。


全体の傾向をひと言で言えば、ここ数年の傾向が持続している、といえましょう。総数は緩やかな右肩あがり、審理期間の短縮、鑑定の不実施例の増加、法人後見、市町村申立の増加、第三者後見の割合が増加し(4割強)、親族後見人の割合が減少(6割弱)、とくに法人後見、市町村申立の活用が顕著になってきていること、保佐・補助の利用は増えているが、全体からみればまだ一割を超えたぐらいで、後見類型の利用が圧倒的な数を占めている。全国統計から言えることは、こんなところかと思います。より詳細な利用実態は、別の調査が必要でしょう。

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2011/02/10

予算委員会での成年後見質疑

 2月9日の予算委員会で民主党の中根議員が成年後見制度と選挙権の問題について質問しました。動画が下記にて見られます。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
2011年2月9日「予算委員会」
 発言者一覧で「中根康浩(民主党・無所属クラブ)」を選んでください。
 成年後見に関する質問は、映像開始から51分48秒あたり経過したところから55分10秒あたりまでです。

 回答者・片山総務大臣の答弁要旨は次のようです。
(satoshoがまとめたものに過ぎませんので、正確な発言内容は動画で確認してください)

 

 裁判については承知している。

被後見人は、事理を弁識できない常況にあるのですから政治的な判断はできないと思う。従って、選挙権の制限には制度としての一定の合理性があると思うが、一方で同程度の障害があっても被後見人になった人の選挙権はなくなり、そうでない人の選挙権はそのままという点は憲法に定める法の下の平等に反するのではないかとか、財産的な面で制約を加えることで本人を権利を保護する制度であるのに、保護することの結果、本来であれば広く共有されなければならない政治参加の機会を結果として奪ってしまうことへの違和感というものがあるのだと思う。
 いずれにせよ、裁判の動向を見守りたい。


この答弁、所管の総務大臣としての答弁とは言え、個人的な見解と断った上で、大臣ご本人的にはかなり踏み込んだおつもりかと思う。

 しかし、残念ながら民主党のマニフェストとは一致しない。民主党のマニフェストは、障害者権利条約の批准に必要な国内法の整備を唱っていたが、このマニフェスト自体が成年後見制度をどれだけ理解していたのか怪しいところがあり、その理解不足が露呈しているように思う。
 民主党のマニフェストを持ち出すのは、すでに反故にされていると思っている方も多いと思うので「いまさら」感があるが、政治家の責任というものがあると思うのであえて触れておきたい。この点については、下記にすでに指摘しておいた。
http://www.satosho.org/satosholog/2009/09/in-08e2.html

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2011/02/03

成年後見の選挙権喪失違憲訴訟提訴しました

1月14日にこのブログで紹介した標記訴訟ですが、昨日(2月1日)、提訴しました。
私も弁護団の末席に名前を連ねています。

下記が支援者が調べた、当日の記事群です。


http://www.asahi.com/national/update/0202/TKY201102010633.html
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110202ddm012040117000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ibaraki/news/20110201-OYT8T01255.htm
http://www.nikkei.com/news/category/articleg=96958A9C93819695E2E3E2E1828DE2E3E2E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;at=ALL
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011020100628
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110201/trl11020117100006-n1.htm
http://news.tv-asahi.co.jp/news/web/html/210201027.html
http://www.nhk.or.jp/news/html/20110201/t10013778291000.html
http://www.youtube.com/watch?v=vQ9C8NO4qk4


加えて北大の町村先生がブログで紹介してくださいました。
action:成年後見による選挙権喪失は憲法違反 http://bit.ly/hyS2nN
町村先生は、どうやってココログにyoutube を貼り付けたのだろうと、未熟者の私は、へんなところでも感激しています。

この訴訟、これからこのブログで可能な限り情報提供していくつもりです。

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2011/01/26

ヨーロッパ人権裁判所2010年5月20日判決

成年後見利用が自動的に選挙権喪失に繋がるのかどうなのか、いろんな動向を調べている。その中で、昨年の2010年5月20日にヨーロッパ人権裁判所が下した判決にぶつかった。

 EU加盟諸国の間では、障害者の選挙権制限を撤廃ないし緩和する動きが顕著であるが、なお後見利用が自動的に選挙権喪失に連動する法制度を持つ国もある。この事件の被告側となったハンガリーもそうした国の一つであり、同国憲法には、後見に付されたものは選挙権を失う旨の規定が明記されている。2010年5月20日にヨーロッパ人権裁判所は、同国のこの後見規定がヨーロッパ人権条約に抵触するとの判決を下した。ECtHR, Alayos Kiss v. Hungary, No38832/06,Judgment of 20 May 2010.

 なおヨーロッパ人権裁判所というのはヨーロッパ人権条約を批准している加盟国の条約実施状態を監督するために1950年代から設置されている歴史のある裁判所で、大法廷(加盟国数の数だけ存在する裁判官全員)と小法廷(7名からなる)の二つがあるが、上記判決は、第2小法廷で2006年に受理され、2010年に判決があり、3ヶ月後に大法廷への上訴がなかったため8月20日に確定している。確認が必要であろうが、条約違反であるという内容なので、今後はハンガリーが同国の国内法を整備するかどうかを、加盟国の閣僚委員会が監視しつづけ、進展がなければ勧告意見などがでるのではないかと私は想像している。(このあたりは専門外なので、調べるのがやや手間がかかる)。

 事件は、鬱病で限定的ガーディアンシップ(包括的ガーディアンシップと限定的に分かれている限定的なほうがより軽いものだある)にハンガリー国内の地裁で付された男性が、国政選挙に投票できないのはヨーロッパ人権条約に抵触するとして、提訴したものである。この男性(以下原告)は、自身が鬱病で限定的ガーディアンシップの利用が必要であること自体は、争っていない。しかし、それが選挙権喪失に連動することを知らなかったため、民法上の仕組みでしかない後見制度の利用が、同国憲法で選挙権喪失の対象とされていることが、ヨーロッパ人権条約(第一追加議定書第3条:平等選挙を定めた規定)に抵触するとしてヨーロッパ人権裁判所に提訴したものである。
 追加議定書(protcol)というのもややこしいが、これはヨーロッパ人権条約が最初に成立した当時は、とりあえず合意できるものだけを先に条約化したため、そのアトに合意が成立したものを、次々と条約の中に追加しているものである。

 また、この裁判には、ハーバードロースクールのThe Harvard Law School Project on Disability (HPOD)が、書面参加を申出て裁判所から許可されている。このプロジェクトは、障害者権利条約の完全実施を世界的に働きかけるための研究組織である。この参加人も原告も、ともに障害者権利条約の12条と29条を引用しつつ、ハンガリーの憲法はこれら国際人権法に抵触していると主張した。なおハンガリーは障害者権利条約を2007年7月20日に批准している。

 裁判所は、7名の全員一致で、ハンガリーの選挙権喪失規定は、ヨーロッパ人権条約第一追加議定書第3条に違反すると判示し、ハンガリーに対し原告に総額8000ユーロの金銭の支払いを命じている。

 その判決理由の中で、裁判所は、投票権制度に関わる各国の立法裁量は認めつつも、限定的ガーディアンシップに服する人の個別能力の審査をともなわない選挙権剥奪は、その立法裁量権を逸脱していると述べ、精神障害者のように過去において顕著な差別を受けてきた社会的弱者に対する基本的人権の制限は、その制限につき重大な理由が存在しなければならない、と述べている。

 そして障害者権利条約を含む国際人権規約に言及しつつ、知的障害や精神障害をもつ人々を、ひとりひとりの個人ではなく、単一のクラス(社会階層)として無差別に取り扱うことは、問題をはらんだ分類であって、その人々の権利の制約は厳しい吟味を経なければならない、と延べ、個別的司法審査をせずに限定的ガーディアンシップが必要であるということのみを根拠とする投票権剥奪は、投票権の制限の正当な理由とはなりえいない、と明確に述べている。

なお、同判決は下記のサイトからアクセスできる。
http://cmiskp.echr.coe.int/tkp197/view.asp?action=html&documentId=868178&portal=hbkm&source=externalbydocnumber&table=F69A27FD8FB86142BF01C1166DEA398649

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2010/07/18

茨城の成年後見とブルーベリー

 先日木曜日に、水戸に行ってきました。県内の知的障害者相談員の方々の研修会で成年後見のお話をする機会をいただいものです。「知的障害者相談員」とは地元の育成会が県から受託している事業のようで、多くはご家族の方々が相談員になっているようですね。で、そのつもりで出掛けていったのですが、県内の市町村の障害福祉課の方々も沢山お見えになっていて、おもわず行政に対する熱い期待を語ってしまいました。ご参加のみなさま、熱心に聞いていただきありがとうございました。

 水戸は、駅北口を出て裁判所まではなんどか往復したことがあるのですが、南口に降り立ったのは今回が初めてで驚きましたねえ。再開発が進んでいて北口とはまったく違う街になっています。北口が旧市街、南口が新市街というところでしょうか。時間があればゆっくりとあちこち歩き回りたいところでした。

 ところで、共時性というコトバがありますが、ものごとは重なります。まえに鳥取ネタが重なりましたが、今回は茨城ネタです。どういうことかというと、この講演の2週間ほど前に茨城の知人からブルーベリーが送られてきたのです。

Nec_0039


 一粒一粒が丁寧に作られた種なしブルーベリーです。とても美味しいですよ。やや大粒で食べ応えがあります。家族全員で、うまいうまいとあっという間に食べてしまいました。
 このブルーベリーは正見園という自閉症の方が栽培している畑で作られています。サイトもあります。
 http://www.speedway.ne.jp/~b-road/

一度、現地を見に行ってみたいとは思っているのですが、なかなか機会がなくて。でも美味しいつながりは、ちゃんとつながっていますから、それでいいのかもしれませんね。

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2010/07/09

AAPEPと選挙

 昨日、期日前投票にいきました。すごい混みようです。受付の前は長蛇の列。政党名を記入する比例区のしくみが変更になっていて少し戸惑いました。

さて投票に行く前に投票所入場整理券を見てみると家族4人の整理券が全部ありました。そこには、我が次男の名前もあります。もう二十歳を超えていますから当然でしょう。ほーー、来てるねえ、と家人に告げて私だけ投票所へ行きました。

昨日、次男のAAPEPの検査報告をご担当の方から詳細に聞きました。この検査、私の予想以上に的確です。家族の事前アンケートだけでなく、通っている事業所のアンケート、そして担当者の方が直接、本人面接していろいろチェックする直接観察の結果を踏まえて、実に丁寧な考察を加えているのです。そうとうな時間を割いてくださっていることは間違いありません。関係者の方に感謝・感謝です。

結果は,私の予想(希望)よりも次男の能力を低く評価してあり、説明を受けてなるほどと思うと同時に、できるところとできないところを無視して、あれこれ支援することが、本人をいかに混乱させているのか改めて反省するところ多々ありました。

で、検査項目の中に当たり前ですが、自分の名前を書けないというものがあります。そりゃそうですよ、文字はまったく書けない。ことばがないのです。で、はじめの話なのです。その彼に投票所入場整理券が来ています。おそらく実際に使うことはないでしょう。

AAPEPの結果は、障害程度が最重度であることを示しています。でも「だから」彼に選挙権は与えない、と言われると私はおかしいと思います。彼は、一個の人間であり、「自分の意思」というものを明らかに持っています。AAPEPの結果を見ても、そのことは分かります。いや日頃一緒に暮らしていれば誰でも分かります。

もし彼に投票行動がとれて、投票できれば、その意思を尊重すべきでしょう。彼に成年後見人をつければ、選挙権がなくなります。なぜ彼の選挙権を奪うのでしょうか。判断能力がないから?。しかし、成年後見で問題にしている判断能力は財産管理能力でしょう。政治的な思想信条をもつ能力を家裁が判定しているとはとても思えません。彼に選挙権があることで、国政に混乱が生じるから?。これもおかしいのです。最重度の人は実際に投票行動がとれないから、選挙権があろうがなかろうが、国政に投票行動を通じて影響を与えることは現状ではありえないのです。では、もし実際に投票行動がとれる程度の障害者がいたとして、その人の投票権を奪う理由は、なんでしょうか。判断能力がないから?。繰り返しになりますが、家裁はそのような意味での判断能力を判定しているワケではありません。そのような人は、適切な判断ができないから?しかし、A党に入れた人は適切ではなくて、B党に入れた人が適切である、などと判定する尺度が選挙制度にはあるのでしょうか。それは結果で決めるとするのであれば、選挙に負けた政党の関係者や投票者の選挙権をみな奪うしかない。そんなことは誰も考えないでしょう。投票というものは、そういうものです。

 もっとも、この問題はもっといろいろ考察しなければならない話があるように思います。たとえば未成年の子供に選挙権を与えないこととの比較です。しかし、これも正確な比較ではないようにおもいます。未成年の人はいずれ成年になります。つまり、いま必ずしも根拠のはっきりしない大人側の事情で選挙権を剥奪されていますが、いずれ選挙権を与えられることが約束されているのです。ところが成年後見人をつけた場合、その人の選挙権が復活することは現実にないでしょう。完全に政治社会から抹殺されるのです。なぜ、そこまで社会は障害者を嫌うのでしょうか?。それが分からない。そんなことを考えた一日でした。

選挙の時期になるとどこかで施設長が逮捕されています。投票者名を指示したというのがその大半です。ですが、選挙運動一般は、投票者を指示するのでしょう。菅さんも谷垣さんも、そのほかの方々も投票者を選挙民に指示しているのでしょう。ここが実は一番の問題です。障害のない人達に、この人に投票してくださいと御願いしたら、それは合法な選挙運動であり、障害のある人に同じことをしたらそれは違法な選挙運動である、というのはなぜでしょうか。障害のある人への選挙運動は、形の如何を問わず違法なのでしょうか。誰が立候補しているのか、どんな人なのか、そんな説明をすることを苦労しながらしているのでしょう。数年前につくば大学の学生がお金をもらって特定候補に投票したという事件がありましたが、この事件を契機につくば大学の学生の選挙権を剥奪せよという話は聞いたことがありません。当たり前だと思いますが、その当たり前のことが障害のある人に対しては、当たり前でなくなるから不思議です。

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2010/06/18

京阪奈丘陵 法と倫理のコラボ

京阪奈丘陵、私は京都で育ったので、その所在は聞いたことがある。ここに関西文化学術研究都市・別名「けいはんな学研都市」が建設されるという話は、もう何十年も前に聞いたことであるが、実際に着たのは今日が初めて。驚いた。とてもゆたっりした街である。

ここにある国際高等研究所で、とある研究会が開かれて、機会をいただいたので成年後見と自己決定にかかわる話を一時間ほどさせていただいた。

それにしてもすばらしい施設だ。梅雨であることをまったく忘れて、人間社会の抱える話題に精神を集中できる。

国際高等研究所の施設
http://www.iias.or.jp/profile/facilities.html

今日参加した研究会の案内はこちら。
法と倫理のコラボレーション研究会
http://www.iias.or.jp/research/project/2010_06.html

法学者が多く、しかも相当にレベルの高い方々の集まりなので、私の話が、他の先生方にどれほど参考になったのか、内心忸怩たるものがあるが、いつもの講演の癖で「毎年3万人弱の方が裁判所の手続きで選挙権を奪われている国が主要国で他にありますか・・・」とつぶやいてしまった(呟きにしては大きな声だったが)。これは響いたように思う。

ま、それはそれとして、私としては若い研究者が報告してくれた「状況的犯罪予防論」の話が収穫だった。状況整備から入っていくので、道徳的価値から中立に犯罪予防を議論できる。たとえばブラットホームの防御柵なんてのは、障がい者にとっては被害・加害両面でとても重要なのだが、これもなぜ必要なのかなんなく説明できる。福祉の現場で、触法障がい者がでたときに「支援不足」がよくいわれるが、それとも一脈通じるところがある。
報告者の方は、そういう問題として必ずしも論じておられなかったが、私には、そんな問題として聞こえたし、十分に価値のある議論だと思えた。
いや、いろんな議論があるなあ。明日も楽しみ。

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2010/02/08

知的障害者が後見人に就任して横領、他

後見人が被後見人の預貯金を横領するニュースが,知人から届いた。年間200件に上る解任事例の一こまであろう。

●1200万円横領容疑 地検が逮捕/秋田
http://mainichi.jp/area/akita/news/20100206ddlk05040018000c.html
これは後見人はいとこ。その母親に代って後見人に就任して、自宅の購入費用にお金を使ったらしい。

●知的障害者の200万円着服容疑――奈良、実質的な成年後見人を逮捕/奈良
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news007510.html
こちらは記事からは確認できなが、どうも後見人は親族ではないようだ。
友人か勤め先の社長か?

横領事例は家族だけでなく弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職でもあるから、「だから家族や非専門家はだめだ」と即決することはできない。

また前にも書いたが、裁判所が監督業務の中で発見している事例なので、裁判所の監督がまったく機能していない、と判断することも早計だろう。もっとも監督能力はかなり限界を超えているとは思うが。。。

しかし次の例は、いささかびっくりする。

知的障害のある人が、成年後見人に就任し、やはり知的障害のある母親といっしょに親戚の交通事故保険金などを横領したという事件である。逮捕されたときから話題になっていたようだ。

広島地方裁判所 福山支部平成21年03月24日判決

業務上横領罪が成立し,犯行の一部につき知的障害による心神耗弱の状態にあったと認定して懲役1年10月の実刑

最高裁判所HP 判例検索  http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37718&hanreiKbn=03

この判例は判例集などには搭載されていない。上記の裁判所WEBでみることができる。

刑事事件では、裁判所は家裁の選任の落ち度を認めなかったのであるが、この後に国賠訴訟が起きている。
http://sea-mew.jp/nox/modules/webarc/2ch/hiroshima/1252421460-0.html

この国賠事件がどうなっているのかは、知らない。判決がでていないのだろう。
選任過程にせよ、監督業務にせよ、家裁まかせにしておいてはいけない、ということだろう。地域ぐるみで支援し、おかしいと思えばどんどん家裁に上申することが必要だ。家裁の担当者だって目の前の後見人候補者が療育手帳を所持してるかいないか、なんて調べられないと思う。

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