2007/01/30

条例のある街

 先日の土曜日に、昨年千葉県議会で成立した「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」の報告集会が、千葉市内で開かれました。

 労働福祉会館の定員100人の会議室があふれてしまい50席ぐらい席を足したそうです。県の職員さんや報道関係の方もお見えになっていたようですが、条 例成立にいたるまでの経緯と今後の予定などが紹介されたあと、大阪アドボカシー法律事務所の池田弁護士の基調講演がありました。

 池田さんは、障害者の権利条約の話や権利擁護の動向などを分かりやすく解説され、その中で千葉県の条例成立の社会的意義を高く評価され、成立に向けて努力した方々ひとりひとりに、そして千葉県民への賞賛が語られたように思います。

 この日は、ぶどう社から出版された野澤和弘さんの「条例のある街」という本の紹介・販売もありました。いうまでもなく、今回の条例の制定経過を詳しく解 説したものです。ドキュメントタッチで、読者自身が、その制定経過に関わっていたような感じで読めます。障害者差別の根源的な問題や報道のあり方、地方政 治のあり方などもそれとなく触れてある本です。ぜひ一読を勧めたい本です。

ぶどう社のサイトにあるこの本の宣伝です。
http://www.budousha.co.jp/booklist/book/jourei.htm

「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」の千葉県の公式解説ページです。
http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_syoufuku/keikaku/sabetu/sabetu.html

 追記:それにしても、この条例の名前、長いなあ。そのうち愛称がつくとは思いますが。いまの高校生ぐらいだったらなんて呼ぶんだろうか。「ともくら条例」かなあ、「ひとひと条例」かなあ。
 そんなことを考えながら、報告会のあとの懇親会で夜遅くまで騒いで終電に乗り遅れたのでした。

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2006/12/14

障害者権利条約が成立

昨夜、国連総会で、障害者権利条約が成立したそうです。

読売新聞
国連総会、障害者権利条約を全会一致で採択
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20061213it15.htm

東京新聞
障害者権利条約が成立 国連総会、全会一致で採択
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006121301000838.html

 私の体調はいまひとつサエナクテ、昨日も一日伏せっていたのですが、これで元気がでそうです(苦笑)

この件に関する外務省のサイト
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/shogaisha.html

草案の内容も含めて次のサイトが詳しい。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/index.html

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2006/11/29

日弁連の差別禁止法要綱と後見制度

日弁連「障がいを理由とする差別を禁止する法律」要綱(日弁連試案)各種報告・意見交換会が、27日午後2時から5時まで弁護士会館で開かれました。私も参加してきました。もっとも参加できたのは最期の1時間程度でしたが、なかなか有意義であったと思います。

 日弁連の「障がいを理由とする差別を禁止する法律」要綱(日弁連試案)については、下記にアップされています。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/061017_2.html

 私は千葉県の障害者条例の内容を簡単に紹介させていただいたのですが、そのほかに国連の障害者差別禁止条約の話など、興味深い紹介がありました。いろんな質疑があったようですが、私が聞いたところで興味深かったのは、成年後見制度を利用することによって選挙権がなくなるのは憲法違反ではないのか、との発言が弁護士からも障害者団体の中からも出ていた点です。今回の要綱の中に、明文で規定されているわけではないのですが、やはり誰の目にもおかしいと映っているのでしょう。
 選挙権がなくなることを知らずに後見申立てを行った例もないではないでしょうから、その人たちの救済を今後どうするのか大きな課題です。一旦でた後見決定が取り消されることは事実上ありえないでしょうから、公職選挙法の規定が変らないと失われた選挙権が復活することはありえないですが、立法的解決が望まれるところです。

 ところで、後見関係では選挙権の話しがとりわけ目立ちますが、他にも欠格条項が幾つかあります。
・国家公務員法38条1号
「成年被後見人又は被保佐人」に該当する者は、「官職に就く能力を有しない。」
・地方公務員法16条1項
「成年被後見人又は被保佐人」は、「職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。」
・社会福祉法:36条4項1号
「成年被後見人又は被保佐人」に該当する者は、社会福祉法人の役員になることができない。

 民間企業に対して障害者の雇用率の向上を勧め、加えて成年後見制度の利用の促進を謳うのであれば、国や地方公共団体が後見利用者を職場から排除するシステムを維持しているのは、背理のように思えます。また本人活動の一環として社会福祉法人に障害者ご本人の理事を入れようという話しがありますが、これも排除されては成年後見が使いにくいことになります。

 ここらあたりの話しは、関係者は誰でも知っている話ですが、みんなが知っていても、なかなか改革が進まない話です。障害者のためのシステムアドボカシーというのは、それだけ難しいということなのでしょう。

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2006/11/03

祝う会

 私は、人前で挨拶をすることが苦手である。毎日のように講義をしているのであるから、慣れているはずなのに、自分でも不思議である。
 昨日、千葉県の障害者条例の成立を祝う会が千葉市内で開かれ、条例成立に向けて活動した皆さんが集まった。

 小さなといっても50人以上はいたであろうか。条例案を策定した研究会が終了して10ヶ月、久しぶりにお顔を拝見する人がいる。ご活躍の人がいると噂では聞いていたが、はじめてお会いする人もいる。地元船橋で、(別件ではあるが)数日前にあった人もいる。さまざまな方が、千葉県内各地から集っている。いろんな人が緩やかなネットワークを組んでいたんだなあと、その顔ぶれをみて、あらためて裾野の広さに驚く。

 私も、スピーチをさせていただいたのであるが、どうにもこれがまずい。いわゆる空気が読めていないのである。ま、これはいつものことであるからあきらめよう。

 人を笑わせる、涙させる、勇気付ける、これをわずか数分のスピーチの中に組み込む人もいる。昨日もそんな人がいた。いずれも障害当事者の方である。知的障害のある方の元気な挨拶、精神障害のある方のヤングマン体操、聴覚障害の方のパワフルな話し、そして全盲の方の視野の広い見事なスピーチ。いずれも場の空気を掴み、人の心を和ませ、心のふれあいを感じさせるものであった。

 途中から知事も参加された、県職員の方もいらっしゃった。2月県議会に上程されてから紆余曲折を経た条例であったが、県議会の傍聴とそれを受けた県議の努力で全会一致で可決された意味は大きい。これからまだまだやらなければならないことは多いが、とりあえずは慰労である。それぞれの想いが集う「みんなで作った、祝う会」であった。

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2006/10/29

千葉県障害者条例

標記の条例が成立したことはすでにこのブログでもお知らせしておりますが、朝日新聞が社説で取り上げました。

【社説】2006年10月29日(日曜日)付
    障害者 差別をなくす千葉の挑戦
      http://www.asahi.com/paper/editorial20061029.html

 県レベルでは初めてのことだ。国が動きだすのを待つのでなく、自治体が自分たちの地域をよくするルールを整える。地方分権をめざす時代にふさわしい試みといえる。

と評価したうえで、次の文章もあります。

 条例を貫いているのは、差別をした者を罰するのではなく、障害者への理解を深めて、味方になってもらうという考え方だ。だから罰則規定はない。

 ひとつの見識だろう。ただ、理想をうたうだけで被害者の救済につながるのか、心配になる。

------

 条例制定の検討が始まってから2年。県庁の担当者や議員だけでなく、多くの県民が制定のプロセスにかかわった。障害者団体と、差別をする側になるかもしれない企業や小学校の校長らが同じテーブルで話し合いを重ねてきた。

 県議会に条例案が提出された2月の議会では、傍聴席に空席が目立った。それが今月11日の成立の際には、議事を見守る人であふれた。

そして最後につぎのように締め括っています。まったく同感です。 

条例作りを通じて多くの県民が障害者や差別に真剣に向き合った。それがなによりの成果かもしれない。

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2006/10/12

各人各様の条例成立

 昨日の条例成立から一夜明けて、MLの様子は落ち着いてきています。
連日の議会傍聴に参加された方々のパワーは凄いもので、昨日の県議会も傍聴席は満席、中に入れない沢山の方々がロビーでテレビ傍聴されていたようです。

 祝い方も各人各様。組織的なバックのとくにない条例制定活動らしく、任意の報告集会のあとは三々五々、それぞれの祝い方をされたようです。飲み会に行く人もあったでしょう。家族とワインで乾杯、という方もおられたようです。わたしはというと、議会にもいけず大学で仕事(苦笑)。成立は、MLの速報で知りました。

 昨日の段階では、議会の退席者は5名と聞いていたのですが、今日の新聞報道では6名でした。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news001.htm

  「この日の本会議では、全会一致で可決する運びとなっていたが、曲折を経た展開を反映し、賛否を巡り紛糾した自民から4人、民主からも2人の退席者が出た。退席したのは、自民党が田中由夫、宇野裕、矢野光正、西田三十五の4氏。民主党が黒田雄、田中信行の両氏。いずれも反対ではないため、両会派は不問に付す方針を示している。」

 「田中由夫議員は「信念に基づいて退席した。(将来に)禍根を残すような条例は作るべきではない」と述べた。また、田中信行議員は「あくまで(6月議会で撤回された)当初案に賛成の立場。自民党と妥協した案では実効性に疑問がある」とした。」

 この条例の成立は沢山の意味がありますが、なんといってもこれまでの障害者運動のパラダイムが転換していることを示した点が大きいところです。糾弾型ではない、相互理解と対話路線です。これは障害のある方とない方の間のことだけではなくて、障害のある方の間の話でもあります。2月県議会から昨日にいたるまでみなさんの議会傍聴活動の中で、このことの大切さと力強さを、実感させられました。(わたしは結局、一度もいけなかったのですが・昼間の議会は辛い)

 加えて、地方政治への着目です。県議会や県政へわたしたち市民が目を向けることはこれまであまり多くなかったのですが、そうした人たち(わたしもそうです)が、国からのトップダウンではない、まさに地域社会から積み上げた「政治」活動を行った点に注目したいところです。この活動が、いままでの政治スタイルとどう違うのか、どなたか詳細に分析してくださるとありがたいのですが、既存の「政治」概念では切り取れないなにかを含んでいるように思います。わたしも沢山の勉強をさせていただきました。人のありよう、社会のありよう、いろんなことを考える上で、こんなに貴重な経験は、そうはできないところです。ありがとうございました。

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2006/10/11

速報 千葉県障害者条例

 今日の千葉県議会で、標記条例が賛成多数で成立しました。

県議会議員のうち、反対なし、退席5という数字だそうです。すばらしい結果です。

これがわが国で最初の権利擁護法制です。

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2006/10/06

千葉ローカルネタです

 千葉県の障害者条例案が、昨日、健康福祉常任委員会を全会一致で通過しました。傍聴したみなさんの話では、委員である各会派の県議の討議は、厳しい批判や質問が飛び交いながらも最期に委員全員が賛成意見を述べてくれたそうで、感動ものであったそうです。
 11日に本会議が開かれ、そこで審議されます。成立してほしいものです。

今日はまだ早いので新聞各社の記事はインターネット上にでていませんが、読売の千葉版が、でていました。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news001.htm 

この記事によると県議会最大会派の県自民党は、成立に向けて議員総会で党議拘束をかけたようです。

 議員会長は「議員総会では党議拘束をかけた。11日の本会議で反対票を投じた場合は党紀委員会に諮る」と述べた。

 ただ、同党所属議員63人のうち、4日現在で30人を超える議員が条例案賛成に慎重な姿勢を示しており、同党県連幹部は「本会議で退席、棄権する議員が出る可能性はあるが、否決されるような事態はあり得ない」との見通しを示した上で「どうしても賛成できない議員には目をつむる」と述べ、棄権の場合も不問に付すことを示唆した。

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2006/09/26

千葉の条例

 宝塚から帰って土曜・日曜と連日休日出勤で、月曜・火曜と講義だ教授会だ、会合だなどと、ふらふら状態です。その間に、いろんなレベルでいろんな動きがあったようです。まずは、千葉ローカルネタです。

 千葉県では障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例案を2月議会に提出し、6月議会に継続となり一旦取り下げられたのですが、この9月議会に再提案されました。その経緯については、次の県庁のサイトに資料があります。

http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_syoufuku/keikaku/sabetu/sabetu.html

 私はこの条例案の策定にあたった研究会メンバーでしたが、2月議会の当初案と途中で発表された修正案(検討試案)、そして今回の9月議会提出案と比べると、やはりさびしい想いを抱いています。これは研究会メンバーみさんが同じ想いでしょう。でも条例案は議会に託されているわけですから、議会で通らないと話になりません。

 いまの提出案は当初案から後退しているとは言え、これからの日本社会の中での障害のある人の生き方を考えるうえで大きなインパクトを与えてくれる内容をもっています。またこれだけ地方議会に私たちが注目したこともなかったことです。忙しくて議会にこれまで足を運ぶことができなかったのですが、多くの県民の方が傍聴にいかれました。私たちは政治家ではありませんし、議会の行方を「見守る」ことしかできないのですが、目が離せない状態になっています。

提案されたものは、検討試案と対比する形で配られていますので、ここに貼り付けます。

「条例案.pdf」をダウンロード

二月の当初案は、こちらです。上記のものと、こちらをみれば、これまでの条例案のすべてをみることができます。

2月当初案をダウンロード

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2006/08/22

千葉市労働福祉センター

すいません、また千葉ローカルネタです。

千葉県社会福祉協議会が福祉教育研究県大会というものを開催されましたので、参加しました。午後の部で千葉県障害者差別条例のお話をさせていただくためです。
条例案は、9月県議会で修正案が提案されて審議が再開されることになっていますが、条例案の基本的なものの考え方(対話路線)は変っていませんので、その点だけを解説させていただきました。

 今日の最大のイベントは、安房南高校の生徒さんたちが、差別についての寸劇を見せてくれたことです。これは楽しかった。障害者差別の問題にとても鋭い切り口で切り込んでいて、思わず考えさせられます。こういう高校生の人たちが登場すると、世の中、とても頼もしく思えます。

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2006/07/29

不動産協会研修会

 木曜日、金曜日と外で話をすることが多く、ブログにアクセスできていませんでした。
 木曜日は、千葉県不動産協会の研修会にお招きいただき「障害者の生活と成年後見」の話をさせていただいたのですが、600人もの不動産業者の方が会場にいらしてびっくりしました。法科大学院の専任になってから100人を超える人を相手に話したことがないので、いささか戸惑い、声が小さくなってしまったように思います。
 

 会場の皆さんに充分、私の趣旨をお伝えすることができたかどうか不安なのですが、不動産業界の方々が障害者のことを研修項目にいれて下さったことに、とにかく感謝です。福祉の関係者が福祉の関係者の中だけで、福祉の話をしていても、障害者の生活は広がりを持ちません。千葉県不動産協会の試みはとても貴重です。
 これから地域で暮らす障害のある人が増えますし、グループホームの運営も大きく変ると予想される中で、成年後見制度の知識も大切ですが、成年後見を利用していない障害のある方々のほうが圧倒的に多い。そこでは法的な問題はもちろなるが、障害者は一人で暮らしているわけではなく、かならずサポーター(福祉の事業者や家族)とともに地域にいるので、グループホーム用の住まいをサポーターと一緒になって探してほしい。そうすることで不動産事業者の仕事も増えると思う、というような趣旨の話をさせていただきました。いわゆる双方向の議論が時間や会場の規模の関係でできなかったのですが、また機会があれば、不動産業の方々と一緒に、障害をもつ人々の住まいを考えてみたいと思っています。
 昨日・金曜日のことをあとで書きます。

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2006/07/04

まだまだ続く条例論議

 また千葉県ローカルネタです。県障害者条例案が県議会最大会派である自民党の否決通告を前にして昨日、取り下げを余儀なくされました。珍しく(というと怒れるかな)名川さんがこの問題をメンションしてくださいました。思索の深い方ですから文章には配慮と学識があふれています。
http://mnagawa.air-nifty.com/misc/2006/07/post_f261_1.html

 1年以上に亘って条例案策定に微力ながら関わってきた私としては、痛恨の極みなのですが、ここは一歩下がって、障害者の問題を県議会がさらに数ヶ月の間、討論してくださるのだと前向きにうけとめたいと思います。それにしても熱い夏になりそうだなあ。

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2006/06/28

NHK「障害者差別禁止法ってなに?」

大熊由紀子さんのエニシネット情報によれば、今日の夕刻、NHKで障害者差別禁止法をテーマにした報道があるらしい。

28日午後8時~8時30分(7月5日午後再放送)
NHK教育「福祉ネットワーク」で「障害者差別禁止法ってなに?」。
http://www.nhk.or.jp/fnet/koho/606wed.html#koho4

その宣伝タイトルに、次のような文章がある。
「障害者差別禁止法は、世界ではすでに20カ国以上で制定され、何らかの差別禁止法制をもつ国は40か国以上に及ぶ。日本の障害者基本法は理念法であるため、現状では、雇用や教育現場等における障害者差別については、実質的な効力を発揮できずに、差別禁止法を求める障害者の声は大きい。法制定に向けての動きや課題について考える。」

 障害者差別禁止法っていったい何カ国で制定されているのだろうか。20カ国か40カ国か。日弁連の人権擁護委員会が編集した「障害のある人の人権と差別禁止法」(明石書店・2002年)28pには43カ国で障害者に対する差別禁止法が制定されていると書いてある。
 そして日本は、2001年に国連から、この種の法律を制定するように勧告されたとの記載もある(同書364p)。
 他方、続く平成16年(2004年)に障害者基本法が改正されて、同法3条3項に障害者差別の禁止規定が入ったので、すでに日本は、上記43カ国と肩を並べているという主張もあるようだ。

 参考:障害者基本法3条
(基本的理念)
第三条  すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する。
2  すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられる。
3  何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない

 いったい何カ国で障害者差別禁止法が制定されているのか、その計算は難しい。憲法で規定されている国をカウントするのか、罰則が規定されている国をカウントするのか、たんに抽象的に歌うだけで、差別があっても行政的にも司法的にもなんらの救済が受けられない、そんな国でもカウントしてよいのか。キーは定義・切り口の問題である。この切り口の設定如何では、カウント結果が当然に異なる。そしてその切り口は、日本で障害者差別禁止法が制定されているのかどうかの判断と密接に関係する。むしろ、諸外国で何カ国かという総数の問題よりも、こちらのほうが重要である。

さしあたり次のような切り口を考えてみた。
a) なんら具体的な法効果をもたなくてよい、障害を理由とする差別はいけないことだと宣言してあればよい、というのであれば、日本は既に障害者差別禁止法をもっている。
b) 差別がある場合(そう主張される場合)に、なんらの行政的対応・司法的対応が法制度の中に組み込まれていないと差別禁止法ではないというのであれば、日本はまだ障害者差別禁止法を制定していないことになる。
c) a)の場合であっても、その抽象的な宣言が、各種の法令の解釈に影響を与え、個別の行政救済や司法救済が計られていれば、差別禁止法があると理解するのであれば、その国の行政や司法実態を勘案する必要があるから、カウントは簡単にできないことになる。

 結局、この種の計算は、数をあげてくる人の主張の文脈で理解するしかないと思う。ちなみに判例データベースで有名なTKCを覗いて障害者基本法3条でヒットする判例を検索してみたら0であった。すくなくとも司法の場では、まったく参照されたことがない法律になっているのである。上のb)c)の切り口で言えば、日本はまだ障害者差別禁止法を制定していないというべきであろう。

 

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2006/06/27

千葉県議会初経験

 すいません、また千葉県ローカルネタです。興味のない方はスキップしてください。
今日、千葉県議会は、県政史上初の出来事を経験したそうです。

 それは170はあるかという傍聴席が満杯になり、入れなかった人が議場の外にあふれ出るぐらいに傍聴者が詰めかけたことです。私は、大学で仕事があるので現場に行くことができませんでしたが、知合が傍聴にいっていました。この人も初めての経験なので、県庁ってどこ、議場にはどんな格好でいけばいいのといっていました。緊張して、議会には議会開会20分前に到着したのに受付がいっぱいで中に入れたのは議会が開会して20分以上たってからだそうです。それほど込み合っていたのですね。
 傍聴者の多くは、千葉県障害者差別に関する条例についての代表質問と質疑を聞くために言ったのですが、これだけ傍聴席が埋まることは誰も予想していなかったことでしょう。県民の高い関心を知ることができます。
 今日の自民党代表質問では、条例案の取り下げが要求されたようです。その理由はあっという間の質問だったのでよく分からなかったそうです。

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2006/06/17

障害とともに生きる弁護士

 今朝方、香取市にいってきたお話を書きましたが、補足です。障害をもつ弁護士さんたちが、障害を理由とした差別を乗り越えて弁護士活動を展開されていることは、ご本人たちにとってももちろん、よき生を自己実現されているわけですばらしいことです。しかし、このことは、それにとどまらないのです。

 、たとえば、この弁護士の方々の能力が弁護士会の中に加わることで、法律家の層が厚くなる、豊かになっています。これは障害を持つ人にとってはもちろん、障害のない人々にとってもすばらしいことです。このように障害をもつ人々のもつ能力を生かすことで社会が豊かになるのですから、障害を理由とする差別を解消することは社会のすべての人にとって大切なことなのです。
 そうした「人を生かす」ための工夫や知恵を、関係者が持ち寄り、話し合う、これは出来て、これは出来ないと可能性を探っていく、そうした場を、今回の千葉県の条例案は提案しているのです。この点を昨日は、強調しておきました。

 また、こうした話し合いの場を確保するために、勧告・公表という制度があるのです。ですから、これは罰則ではありません。理由もなく話し合いに応じない人は現実にはいないはずですから、これが現実に発動されることはまずありえない。勧告・公表制度を罰則であると批判するのは、比喩のレベルにおいても間違っていると強調させていただきました。

 雨の中を沢山の方が昨日は参加されました。
 差別に関わる条例案などというと、どちらかというと「引いてしまう」人が多いのですが、けっして差別する人を差別される人が糾弾するなどという発想で組み立てている条例ではなく、誰もが差別をすることがあり(障害者をもつ人も、他人を差別することがあります)、そうしたケースをよりよき社会を作っていくためのきっかけとして生かしていくことを狙いにしている条例案です。この趣旨が少しでも広がっていけば幸いだと思っています。

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佐原(香取)に行ってきました

 今日(もう昨日か)、千葉県香取市(旧佐原市)にいってきました。講義が終わってからの参加なので時間的にはタイトであったのですが、たいへんに充実した時間をすごしました。宇井香取市長も参加された障害者条例勉強会で、いくつかコメントを述べさせていただきました。

 といっても難しい話は私にも分かりませんので、先達の名前を利用しました。東弁護士(車椅子の弁護士)、田門弁護士(聴覚障害)、竹下弁護士(視覚障害)の名前をあげて、この弁護士たちが法律家としての能力がないなどという人はいまではいるはずもありませんが、昔であれば、弁護士に向かない(歩けない、聞こえない、見えないから)といわれたのでないか。いまでは、それは障害を理由とした差別というだろうが、むかしは能力を理由とした合理的なものだという人もいたはずだ。このように、障害を理由とした差別と「合理的な差別」との間には、揺れ動きがあるので、それゆえに第三者の話し合いの場所を設ける規定をおいていると、力説しておきました。

ご出席いただきコメントをいただいた県議もいらっしゃるのですが、とりあえず、ここまでアップです。、
それにしても、二次会の焼肉は美味しかった。そして次回は、日本の江戸が残っている佐原の名所を見たいものだと思います。希望です。

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2006/05/15

千葉県議会報道の怪

 先週の木曜日あたりから土曜日ぐらいまでの千葉県議会の条例をめぐる報道は、不可解を極めている。千葉県ローカルネタで申し訳ないが、興味のない方は読み飛ばしていただきたい。

 2月議会が閉会となり6月議会の会期間に特別に条例をめぐる委員会を開いたので注目されていたのであるが、その前日に、自民党が可決へ向けて動き始めたという報道が流れ、フムフムと思っていたら、翌日は、県議側が修正を求めたはずのものが、県当局には伝わっていないという報道が流れ、かたや修正を求めた、他方はいやそれはない、というなんとも不思議な意見交換が委員会の場で行われたという。これまた不思議である。修正を事前に求めていたのが伝わっていなければ、委員会のその場で、求めればいいではないかと思うだが、そうはならないらしい。そこのあたりの不思議をどの報道機関も伝えてくれない。
 あげくのはてに委員会は継続審議を可決して終了したと報道された。え、である。昨日は可決で今日は継続審議か?。だいたい、6月議会はまだ始まっていないのに、継続審議を議会の委員会で正式に決められるのか?。なんとも不思議な報道であった。

 いったい何が起きていたんだろう。新聞各社は、何を伝えて何を伝え損ねているのだろう。不可思議このうえない。

 想像するに、修正問題については、次のようなことが考えられる。修正しろといわれても、現実に修正案がでなければ検討のやりようがない。片方は、修正しろといったことをもって、修正要求を出したと主張し、他方は、修正案がないので要求は受けていないとの態度を崩さない。そんなやりとりだったのではないか。だったらそのように伝えれば良いではないか。先週の週末の新聞報道は、読者になにも伝えていないに等しいように思うのだけど、どうであろうか。

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2006/04/16

条例成立を願う会

標記の会合が、今日の1時から千葉市内の福祉センターで開かれますので参加してきます。
誰でも参加できます。

 願う会ってなんなの、て思う人も多いでしょう。これ、千葉県内のいろんな福祉関係者が集まった会合なんです。なにせみなさん「政治」には無縁の人たちなので、組織もなんにもないわけです。2月県議会が終わりましたので、その様子をみんなで再確認し、6月県議会にむけて、素人集団ながら力を合わせましょうという会合です。
 昨年の郵政民営化解散のときは、自立支援法が大きな問題だったのですが、選挙ではちっとも争点になりませんでした。劇場型選挙の宣伝ツールにされてはたまりませんが、福祉の問題がひろく話し合える選挙って、なんとかできないかなあ。

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2006/03/29

千葉県障害者条例(条例ニュース34号)

議会傍聴報告(3月16日)
渡辺芳邦議員(自民)の質疑

☆質問
 条例の理念である「差別をなくす」については、わが党を含めてすべての党が
同感のはず。しかし、地元のいろいろな人たちと話をしたが、地元の行政が情報
もなく混乱している。教育委員会も説明されたことがないと言っているが、先日
の知事の吉本議員に対する答弁では、教育委員会も含めすべての関係者に説明し
たとのことだった。最初にこの答弁の内容を確認させていただきたい。

★答弁
「すべての関係者に説明した」とは申し上げていない。もう少し厳密に申し上げ
たつもり。本会議で説明したとおりのことをもう1回申し上げると、「各市町村
に対して、研究会中間報告への意見照会、ヒアリングへの参加及び意見提出、最
終報告・要綱案の説明等、随時情報提供と意見照会を行ってきました」だった。
これは市町村教育委員会に直接意見を聴いたものではない。市町村の福祉部局を
窓口として「福祉分野だけでなく多岐にわたる内容」と示した上で、市町村とし
ての意見の提出をお願いしたもの。前回も申し上げたとおり、研究会委員として
教育関係者にもご参加いただいた。千葉県小学校長会など教育関係団体からも重
点的にヒアリングを行った。そうした意見を、条例内容を検討する重要な材料と
した。こうした検討を通じて、教育現場や市町村の意見も聴きながら条例案の作
成に取り組んできた。
         
☆質問
現場が混乱している。この条例は、知事が普段唱える地方分権とは逆に、千葉県
の枠内での中央集権だと思う。これからの展開も含めて、市町村と十分話し合っ
て欲しい。
個人的な意見だが、人と人との関係を制度で縛るのがよいことなのか。もっと、
思いやりを大切にする日本人らしいことがあるのではないか。福祉の教育が大切
であり、知事からも発信すべき。自分が子供の頃は、障害児と接点がなかった。
今は、まだ一部かも知れないが、接点ができつつある。子どもたちは、普通にい
たずらをしたり、痛みを学ぶ。そこには障害のあるとか、ないとかの区別はない。
せっかくこうした芽生えがあるのに、この条例で「障害者」「差別」を取り上げ
て、あえて溝を作ることになる。条例を作るのであれば、日本で一番よい条例に
すべきだ。
※時間切れで答弁はなし。

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千葉県障害者条例(条例ニュース31号から)

終了した県議会の質疑を続けて掲載します。

議会傍聴報告(3月15日) 予算委員会での質疑です。河野議員(民主)は、条例案の中で勧告や公表をめ
ぐっての質問、藤井議員(公明)は差別解消委員会に関する質問が中心でした。

 河野俊紀議員(民主)の質疑
☆質問
 議員にとって条例の審議は重要なことであり、専門的な質問になるが、代表質
問のご答弁に対して確認させていただきたい。前回の代表質問で、適用除外条項
等に基づき県が勧告・公表をしなかった場合でも、義務付け訴訟により裁判所か
ら勧告・公表を命じられるのではないかと諮問したところ、知事から、義務付け
訴訟の要件である「重大な損害が生じるおそれがあること」についても「損害を
避けるため他に適当な方法がないこと」についても該当しないとのお答えでした。
しかし、「重大な損害が生じるケースは想定できない」のは何か客観的な基準が
あるのか、損害を避けるための方法が他にあるならばこの条例は何のために作ら
れたか。

★答弁
とことん納得のいくところまで、法律的な問題でもお答えしなければならない。
義務付け訴訟については、司法が行政より先に行政行為の必要性を判断するもの
であり、事後救済が原則の行政訴訟の例外。実際、裁判所が、特定の行政行為を
命じた事例はほとんどない。
「一定の処分がされないことにより重大な損害が生ずるおそれがあること」とい
う要件についても、この位置づけを踏まえれば、県が「勧告や公表をしないこ
と」が原因で重大な損害が発生し、この要件に該当することは想定しにくいと考
えている。
前回、義務付け訴訟の「損害を避けるため他に適当な方法がない」という要件に
該当しないことの例示として、民事訴訟等の提起を挙げたが、すべての事例にお
いて民事訴訟で対応できるわけではない。
むしろ、日常生活の差別の多くは、当事者間の誤解などに基づくもの。時間や費
用の負担の大きい民事訴訟よりも、第三者的な立場の相談員が間に入って、問題
解決に向けて知恵を絞るこの仕組みが有効な場合が多いと考えている。したがっ
て、条例の存在がたいへん大事。
         
☆質問
憲法では、刑事罰を科す場合には法の適正な手続をとることを求めている。この
条例の勧告公表は刑罰に匹敵する制裁であり、適正手続が必要と考えるが、憲法
には違反しないか。

★答弁
憲法の「法律の定める手続によらなければ刑罰等を科せられない」という法定手
続の保障は、直接には刑事手続に関するものだが、行政手続においても、その内
容に応じて適正な手続が必要との見解がある。
 勧告、公表は、罰則のない場合の最終的な担保措置として、既に様々な制度に
おいて規定されている。この条例においては、勧告・公表に当たって、事前に意
見聴取を行うこととしており、他の諸制度よりも手厚い手続を定めている。
その運用に当たっては、障害差別解消委員会において、中立的、第三者的立場か
ら、勧告の相当性を審議し、事前に当事者の意見を聴取する手続を定めるなど、
慎重に対応していく。


藤井弘之議員(公明)の質疑
☆質問
 これまでの議会の質疑を聞いてきて、この条例のどういうところが問題なのか
分からない。これまで障害者に対して様々な差別があったのは事実だろうし、そ
の気がなくていつの間にか差別をしてしまっていることも事実だろう。条例にお
いて「なくすべき差別」を掲げることは素晴らしい知恵のひとつ。研究会など1
年以上の県民参加の議論での、大変な労力と知恵、思いを感じる。ただし、内容
が先駆的であればあるほど、その運用は慎重であるべきと思う。この点について
どう思うか。

★答弁
この条例は、様々な立場の県民が理解しあって、できるだけ差別をなくしていこ
う、差別する側とされる側を対立軸でとらえるのではなくて、すべての人がその
人の状況に応じて暮らしやすい社会をつくろうということが基本理念。
なくすべき差別を例示したというのがこの条例の特徴だと思っている。差別とは
何かはっきりしないので、それを県民の目に明らかにした。一方で、罰則を設け
ず、第三者的立場の相談員が間に入って問題解決を図る仕組みをとっている。こ
の相談員の役割は、大変重要なので、条例施行までに十分な研修を行うことが必
要。
勧告・公表についても、罰則のない場合の最終的な担保措置として、様々な制度
にあるが、その運用に当たっては、誰が見てもやむを得ないと思える悪質なケー
スに限定して、客観的かつ公正な判断で慎重に運用していきたい。

☆質問
 障害差別解消委員会が、よくも悪くも両刃のつるぎ。この委員会の公正さを確
保することが必要。障害の有無を差別しない趣旨の条例で、同委員会構成員の資
格のなかにあえて「障害のある人」と規定した背景は何か。

★答弁
障害差別解消委員会は、一番大事な要の役を果たす。障害を理由とした差別事例
について、第三者的な立場から公平に両者の言い分を聞き、助言、あっせん等を
行うことにより、個別事例に即した問題の解決を図るために設置する。また、こ
の委員会は、条例の解釈指針や、差別をしない例の表彰に関する意見、勧告の相
当性の審査等の業務も行う。
このような委員会の趣旨を踏まえ、この条例では、その委員を「障害のある人」
と「人格が高潔で識見の高い者」を併せて10人以内で構成する旨が定められて
いる。県民各層から成る公正な委員構成としていく。
具体的には、障害者と障害者以外のバランス、福祉、雇用、教育など各分野のバ
ランス等を考慮して委員を選任し、公正な審議が行われるよう努めていきたい。
障害者の「生きづらさ」「暮らしにくさ」など当事者でしかわからないことが多
いので、
障害者の思いと実情をよく理解している当事者を必ず委員として入れることを規
定した。
これら当事者と、企業や学校の現場をよく知っている者を委員として組み合わ
せて、委員会の公正な運営に努めていく。

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2006/03/26

条例ニュース30号補足(14号プラス)

条例案自体がわかりませんと、前のアップの県議会質疑はなんのことかわかりにくいので、少し敷衍しておきましょう。条例ニュース14号からの加筆訂正です。


Q&A それでも指導の現場が混乱する、と心配の声もあります
(条例案の教育分野の条項)
①本人の教育的要求を把握した適切な指導及び必要な支援を行う教育を受ける機
会を、本人又はその保護者の意に反して、与えないこと。
② 本人又はその保護者が希望しない学校への入学を強いること。
③ 本人又はその保護者に過重な人的負担、物的負担又は経済的負担を課すこと。

 保護者と教育委員会・学校が子どもの就学をめぐって対立している例は現に
多くあり、この条例案に対して教育現場に警戒心があることは分からないでは
ありません。しかし、このことは関係者だけで感情的な対立に陥っている状況は
現にあるということです。まずそこを認識することが重要です。
 しかも、この議論は、学校・保護者という単純な問題ではなくなりつつあります。
すでに養護学校の入学希望者は、増加傾向にあり、特別支援教育のありように
ついても、保護者の間ですらさまざまな意見の対立があることが知られています。
もちろん学校現場の先生のなかにも多様な見解の方がおられるでしょう。教育を
めぐる議論は、保護者対学校とひとくくりにして把握することは不適切なのです。
 そして私たちは現場の先生がいかに苦労しておられるのか、保護者として知って
います。他方で、教育委員会に頭ごなしに押さえつけられたと思っている保護者の不満
がいたるところで鬱積していることも知っています。この条例が対立を激化させるもの
であるので、ないほうがよいとする質問県議の現状認識は、あまりにも現状肯定的で
あるように思えます。

 また国の法律上の動きも盛んです。 発達障害者支援法3条で、教育機関は
保護者の意見を尊重することが法律上の義務として規定されていますが、この
ことをあまり教育関係者はご存知ないようです。制定されたのが最近のことだ
からでしょう。また市町村と県とが地方自治上は対等関係である点も考慮され
なければなりません。今回の条例案では、県にしか権限が及びませんので、市
町村の教育委員会における対立枠組みは、条例が成立しなければもちろんのこと、
成立しても、そのまま残ります。この点は、県議会の質疑ではまったく無視されて
います。

 千葉県の障害者条例案は、統合教育に賛成も反対もしていません。①から③
の規定は、親の意見を聞いてくださいというのが骨子であって、必ず普通学級
へ通わさなければならないとか、統合教育を行わなければ差別であると規定し
たものではありません。 一方、就学先の決定は、教育委員会に最終権限があ
るとされていますが、これは委員会の専断を認めているわけではありません。
肢体不自由児の就学場所の決定で、特殊学級が普通学級の選択をめぐって争わ
れた裁判がありましたが、この判例も学校側の指定権限を認めつつ、学校側の
専断を否定しているのです。 ※参考 特殊学級入級処分と障害児・両親の学
級選択権――特殊学級入級処分取消等請求事件訴訟控訴審判決(平成6.5.
24札幌高判)判例タイムズ854号102頁

 また、繰り返しになりますが、発達障害者支援法2条3項は「この法律にお
いて『発達支援』とは、発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援
し、及び円滑な社会生活を促進するため行う発達障害の特性に対応した医療的、
福祉的及び教育的援助をいう」と規定し、その上で3条3項は「発達障害者の
支援等の施策が講じられるに当たっては、発達障害者及び発達障害児の保護者
(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう
)の意思ができる限り尊重されなければならないものとする」と書かれていま
す。 このように、障害児童・生徒の教育支援にあたっては保護者の意思を尊
重すべきことが法律上の義務となっており、条例でこれを無視することはでき
ないのです。

 人員配置や予算が十分ない中では、関係者が少しずつ負担をしたり折り合い
をつけたりしながら、障害のある児童・生徒の望む教育を提供する努力が求め
られる場面があります。こうした現実を配慮せずに過重な負担を課しては、せ
っかくの努力や熱意が水泡に帰すことにもなりかねません。③の規定は保護者
側を念頭に置いたものですが、条例案には学校側を念頭においた過重負担を課
さない規定もあり、関係者の過重負担を排除する姿勢を貫いています。   
                               (文責・ satosho )

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千葉県障害者条例ニュース30号から

表記の条例は、22日に既報のとおり県議会本会議において継続審議が決定されました。しかし、多くの県民やほかの都道府県の方にとっては議会でなにを議論しているのかわかりません。
そこで本会議は閉会したとはいえ、議会の質疑を引き続き、ご紹介したいと思います。まずは、条例ニュースの30号からら教育の議論です。


県議会報告(3月10日質疑)

吉本充議員(自民党)
ノーマライゼーションの理念を広く県民に普及し、誰もが暮らしやすい社会を作
ることは大切。このような社会を目指す条例を制定することは意義のあること。
 しかし、この条例で、学校現場や市町村教委から「本当に誰もが暮らしやすい
社会を実現することができるのか」と危惧する声が上がっている。第11条1号
で「教育的要求を把握した適切な指導及び必要な支援を行う教育を受けられる機
会を本人又はその保護者の意に反して与えないこと」、第2号で「障害を理由と
して、本人又はその保護者が希望しない学校への入学を強いること」、第3号で
「障害を理由として、本人又はその保護者に過重な人的負担、物的負担又は経済
的負担を課すこと」を差別に当たる行為として禁止している。
 当局は「市町村教委が行う就学先の決定を否定するものではない」「教育委員
会の独立性に配慮する」としているが、条文を素直に読めば、教委が保護者の希
望しない養護学校への進学を決定した場合、障害児の通学の付き添いを求めた場
合には差別に当たると保護者が誤った解釈をすることが大変心配。
 市町村教委や学校現場では、希望に沿った教育を実現できるよう、その子にと
ってどんな選択が望ましいか、保護者とともに、知恵を出し合い、並々ならぬ努
力をしてきた。
 一つ例を挙げる。地元で、52人しかいない小学校に特殊学級が設置された。
地元の若夫婦が外に出て、障害児が生まれて、地元の学校に通わせたいと戻って
きた。市に掛け合い、過疎地だが、一人のために加配しましょうとなった。県立
学校では28人の障害を持つ生徒が頑張っている。しかし、保護者の思いと学校
現場の摩擦が起きているのも現実。最終報告では、全部で769の差別事例のう
ち213が教育分野とあったが、現場が頑張っても「差別」と思うのが親心。
 条例が施行されれば、保護者と教委、学校の信頼関係や意思疎通が損なわれ、
対立が深まるのは明らか。これは、雇用、サービス提供など様々な場面で想定さ
れる。この条例は、障害者に理解を広げ、県民誰もが暮らしやすい社会を作るこ
とを目的としながら、障害者に対する禁止行為を前面に打ち出し、罰則にも等し
い「勧告」「公表」で、県民が障害者を遠ざけてしまうと考える。
 この条例の施行により、特に教育現場の混乱が予想されるが、知事はそのこと
を十分認識しているのか。

堂本知事答弁
条例では「障害を理由として、本人または保護者が希望しない学校への入学を強
いること」を「なくすべき差別」として例示している。これは、教育委員会の就
学指導、現行法を前提にして、本人や保護者の意向に十分配慮し、理解を得るこ
とを求める趣旨。この規定は現在の実務に沿うもの。教育委員会や市町村の独立
性・自主性に配慮する規定もあり、教育現場に新たな混乱が生じるとは考えてい
ない。
付き添いなどは、教育現場にも、第三者的が関与することで保護者との意思疎通
が容易になり、ボランティアや地域住民の協力が可能となるなど問題解決につな
がる可能性もある。このような趣旨について、教育現場や障害関係者への周知に
努めていく。この答弁は、健康福祉部と教育庁の両方が納得している答弁。教育
現場に混乱を招くのであれば、教育庁でそのようなことを書くはずがない。
2点申し上げる。まず、この規定は現在の実務に沿うもの。昨年暮れの中教審の
答申に、同じような趣旨が出ている。「障害のある子ども一人一人のニーズに応
じて、きめ細かな支援を行うために、乳幼児期から学校卒業後まで一貫して計画
的に教育や療育を行うとともに、学習障害、注意欠陥、多動性障害、自閉症など
について教育的支援を行うなど、教育療養などに特別のニーズのあるこどもにつ
いて適切に対応すること」が基本方針として盛り込まれた。県は、特別支援教育
のあり方について、ノーマライゼーションの進展に対応した障害児教育の検討会
議で検討しているが、今の方向性は、国と同じように、障害のある乳幼児生徒の
自立や社会参加に向けて生涯にわたる一人一人のライフステージに応じて適切な
支援を行う。去年から今年に、特別支援教育については、急激に変わってきた。
この条例に書いてあることは既に条例以前に教育現場で方針が国に決められ、県
もその方向性で、ことが毎日進んでいる。この規定は、現在の実務に沿うもので
あり、それを越えるものではない、ということが一つ。
もう一つ、今議員は、なくすべき差別というところだけお読みになった。しかし、
その後に、17条で、第7条から15条までに規定する不利益な取り扱いをしな
いことまたは前条に規定する合理的な配慮に基づく措置を行うことが過重な負担
になる場合には、第7条から前条までの規定は適用しない、と明記してある。教
育委員会や市町村の独立性、自主性に配慮する規定も設けているので、教育現場
に新たな混乱を生じさせるものとは考えていない。ということ。
 この条例があろうがなかろうが、国としても県としても、同じ方向性が今進ん
でいて、特にこの条例が混乱の原因になるとは考えていない。そのことをぜひと
もご理解いただきたい。一部分だけを読むと、全てを極端にお取りになるかもし
れないが、むしろ逆に混乱をなくすためにこそこういった条例の趣旨を入れさせ
ていただいた。第三者が関与することで、今議員がご指摘になった、地元にお子
さんを連れて帰られたご夫婦の場合でも、地域全体で受け止めた場合に、単にそ
の家族だけが苦しむのではなくて、ボランティアの方とか地域住民の協力など地
域との連携をより可能とすると問題解決につながると、より大きくしていくこと
も併せて申し上げたい。

吉本議員質問
 条例は現状の実務に沿うので、教育現場に混乱が起こることは想定していない
との答弁だった。大変残念に聞いた。また、この答弁は健康福祉部と教育庁が書
いたから、教育現場に混乱が生じるのならそういったことがあがってくるだろう
という答弁もあった。条例の一部を捉えていうのはおかしいとの指摘もあった。
第17条の適用除外条項、第5条の市町村との連携や、その後の運用上の配慮に
ついても説明いただいた。
教育委員会、健康福祉部が問題ないというが、実際に就学の判定を行っている市
町村の教育委員会に、差し障りがあるか、実際に問題が発生した場合に解決をす
るのは市町村、特に義務教育の場合は市町村、その市町村に投げかけをしたか伺
いたい。私が聞いた範囲では、この問題がマスコミに報じられてから、地元市、
地元市の教育委員会、近隣市の教育委員会、同僚議員の自治体に聞いていただい
たが、そんなことは言われてないという回答だったし、多くの教育委員会、責任
者である教育長さん、あるいは学校長さんからいろんな声が届いている。本人又
は保護者のために教育相談を持ちかけるだけで差別とされたらどうなるか、就学
指導委員会のあり方が問われてしまう、保護者の付添い等を要求していることが
人的負担と捉えられていく、ある高校では、条例ができたら入学拒否をした校長
先生を訴えてやる、公立学校はできるが私学助成すらままならない私学はどうな
るのか、就学の判定、就学指導委員会等は県教委でやってくれ、公務員は減少す
る方向だが人的措置はどうなるのか、ということがたくさん私のところにも同僚
県議のところにも来ている。
「適用除外があるから過重な負担になるなら適用しない」とおっしゃったが、研
究会の最終報告の中で、例えば、小学校普通学級への入学を希望したのに養護学
校への進学を強要された、だから入学を強いることを差別だと謳っている。通学
時の保護者の付添いを入学の条件とされた、だからこの負担を課すことを差別と
した、これだけ読めば、この保護者は、我が子のことを考えているから、誰だっ
て「これをやったら差別だ」「自分たちの子どもが希望するところへ行けるよ」
と思うはず。
この17条の適用除外について質問。「過重な負担」は誰が判断するのか。条例
上どこが判断するのか。就学指導委員会で、保護者と就学指導委員と市町村の担
当で話し合いが行われて、その場で保護者が嫌だと言った場合は、第三者の相談
員に相談し、そこが間に入って調整をする、時間も費用も労力もかかる。その結
果、最後知事まで申し立てて、その委員会から「この場合は過重な負担だから適
用しません」と言ったら、更に行政に対する不信を増幅させてしまう。逆に「こ
の学校に入れるのが望ましい。」となったら、例えばトイレの問題、どうしても
介助が必要となった場合、今普通の小中学校にはほとんど車椅子トイレなどない。
ある市では、お母さんが行くという約束になっていたけどこられなかった。その
町は財政が豊かだから介助員をつけた。でも全市町村でそれはできない。エレ
ベーター、手すり、スロープ、1つずつお金のかかることがあるのに、県は第5
条で「必要な措置を講ずるよう努めなければならない」としか書いていない。必
要な財源は人的加配も含めてすべて面倒見る、措置すると書けばよいではないか。
努力条項で担保しているというのでは現実には使えない。このあたりのことをお
答えください。

堂本知事答弁
各市町村に対しては、研究会中間報告への意見の照会、ヒアリングへの参加及び
意見提出、最終報告及び条例要綱案の説明など随時情報提供と意見照会を行って
きた。また研究会委員として教育関係者にも参加いただいており、小学校校長会
など教育関係団体からも重点的にヒアリングを行い、条例内容の重要な材料とし
てきた。研究会の検討を通じて教育現場も含む市町村の意見も聞きながら条例案
の作成に取り組んできた。
就学指導委員会のあり方については、障害児の就学については、保護者の意見、
専門家の意見を踏まえ、総合的に判断していると聞いている。こうした就学指導
をより充実させることがたいへん大切だと思っている。就学指導委員会の役割は
今後もより一層重要なものになっていくと考えている。「過重な負担」の程度は、
個別事例ごとに地域相談員等を交えて判断し、具体的な解決に結びつけていくこ
とになる。
条例では「強いる」という言葉を使っているが、子どもや家族が望まないことを
強いられたことが過去にないわけではない。これをなくしていくのが、日本全部
の問題だが大きな問題になっている。今までもどこの学校でも、市町村でも努力
してくださったと思う。しかし、片方は強いられたという意識を持っていること
よりも、もう少し話し合いをし、ご家族にも本人にも納得をしていただかなくて
はならない場合もあるだろう。いま議員が指摘した事例は大変幸せな事例。教員
も加配し、教室もあったということで、特殊学級が52人の学校に生まれたとい
うことで、感動というか、すばらしいことを地域でやったと思ったけれども、そ
ういった対応を、一律とはいかないが、色々なところで。今まで、はっきり申し
上げれば、長い差別の歴史があった。残念ながら。そういった差別を少しでもな
くしていこうと、この条例を上程させていただいている。市町村の方々にも教育
委の方々にも、そして実際に障害を持って生まれたり、障害を持ったご家族がよ
り豊かな生き方が出来るために一所懸命努力していきたいので、よくご理解いた
だきたい。

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2006/03/22

千葉県障害者条例 継続審議に

もう千葉県内の新聞報道など御存知のかたも多いとは思いますが、表記の件で千葉県議会は条例案の継続審議を決めました。同日、男女参画センター関係の条例案は、否決にしています。日本の野球が世界1になったのはうれしい驚きでしたが、県議会の動きは予想されたとはいえ、残念な結果でした。

友人がうまい文章を書いています。以下にそれを貼り付け、その次に20日の県議会に関わる新聞報道のサイトアドレスを貼り付けます。

 20日の千葉県議会健康福祉常任委員会で、条例案が継続審議になることが決まりました。   
多数の議席を占める自民党の意思によるもので、公明党、市民ネット、共産党は条例案に賛成、民主党は途中退席だそうです。

 議会で出た反対意見の中には傾聴すべきものもありましたが、多くは誤解や理解不足やイチャモンとしか思えないようなものでした。これだけ県議会に注目したのは初めてだったのですが、正直言ってこの程度のレベルなのかと信じられず、なんだか県民として恥ずかしくなることもありました。
 しかし、中には本当に深い理解に基づく意見を聞くこともできました。障害者のことが県議会でこれだけ真剣に、かつ今議会最大のテーマとして議論されたことは、党派の思惑によるものが大きかったのかもしれませんが、それを差し引いても一歩前進だと思います。

 タウンミーティングも関係団体からのヒアリングも、これ以上ないくらいにやってきたのですが、そういうことが評価されず、「拙速」と決め付けられるのは残念ですが、それが議会の出した結論なので仕方ありません。

 障害福祉課をはじめ、県庁内各課のみなさんに本当にお礼を言いたいと思います。継続審議とはなりましたが、これだけ一体感をもって民間の私たちとスクラムを組んでくれたことは感動的な出来事だと思います。
 6月議会に向けて、県と民間の障害者や家族や支援者がさらに一体感を強め、その思いを議会や市町村や関係団体に広めていくよう努めたいと思います。
 みなさん、よろしくお願いします。(野沢)

次は、新聞報道です。
現時点では、千葉日報の掲載がありません。

読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news001.htm
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news002.htm

朝日新聞
http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000000603210001

毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/chiba/news/20060321ddlk12010262000c.html

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/cba/20060321/lcl_____cba_____001.shtml

なお千葉日報で掲載されるとすれば、このページです。
http://www.chibanippo.co.jp/

各紙とも男女共同参画センター関連条例案の否決と一緒に報道しています。

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2006/03/11

千葉県障害者条例6

条例案の県議会審議の二日目です。
(条例ニュース26号から)

障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例案
                
県議会報告(3月8日、代表質問)

高崎照雄議員(公明党)の質問
公明党はもともと、弱い人を助ける福祉の党として出発している。しかし今は、
上から”何かをしてあげる”というのはまちがい。さまざまな状況にある全ての
人が、人間観を大事にし、人権感覚をもち、全てのことに社会参加できるような
社会。また、障害や病気はだれでもいつでもなりうるものという認識をみながも
つ。このような社会にはまだなっていない。この条例があることで、社会がそこ
に追いついていくのではないか。知事がこの条例成立を決断したのは、どういう
思いからか、それを聞かせていただきたい。 

堂本知事の答弁
15年8月に幕張でチャレンジド・ジャパン・フォーラムが開かれたとき、参議
院の浜四津議員が来られた。その時に、米国のADA法、障害者差別禁止法は、
障害者を「保護の対象」ではなく「一緒に社会を作る、支える立場」と位置づけ
ているというお話をされた。また、日本をユニバーサル社会に変えていくための
基本法制の検討をしている話もあった。障害を「個人の問題」から「社会的な問
題」と捉えることへの転換という話だった。その話が、私が問題意識を持つきっ
かけとなった。
条例づくりは、16年7月の障害者計画で「国に障害者差別禁止法制定を働きか
け、県独自に条例を検討する」と書かれたことから始まった。1年かけて、白紙
の段階から当事者を含む県民の方たちと行政が協力して、21回の作業部会や多
くの県民が参加したタウンミーティングを通じて作成した。障害があっても自分
らしく地域で暮らしたい。そのためには、地域の誤解や偏見をなくすことが重要
と提案された。
障害のある人もない人も暮らしやすい千葉県のために欠かせないと、地域生活づ
くり宣言の中でも採り上げた。1年半かけて、県民が参加して、事例の募集、研
究会やミニタウンミーティングなどで議論された。丁寧に作ったのがこの条例。
私の決断がなかったとは言わないが、県民の皆様、障害をお持ちの方、車椅子の
方、目の不自由な方、耳の不自由な方、みんなで作り上げたものだというのが正
直な思い。
障害の問題は、人間観、人生観、人権に直結するとの認識が定着しつつあると言
われたが、私も同感です。

高崎議員の質問
議会での審議は丁寧に行われるべき。条例制定に向けての知事の思い、姿勢を重
ねて確認認しておきたい。

知事答弁
公明党は、浜四津議員をはじめ、熱心に取り組んでこられた。敬意を表したい。
今まで日本は、障害者差別が強い国と言われている。特に、精神障害者はずっと
福祉の対象ではなく、自立支援法ではじめて、ほかの身体・知的障害と並んで同
じ立場に立つようになった。最初の精神科医であった呉氏が「この病を得たるの
不幸のほかにこの国に生まれたるの不幸」という名言を残したが、その状況が
延々と続いてきた。
障害者計画で、障害者ご自身がそのような問題に声を上げられた。なぜ鳥取の方
たちが評価しているかと言うと、この条例案が観念的でなく、事例を集め、差別
をなくしていくためにはどうしたらいいのかを議論する中で、対立関係とか罰則
ではなくて、理解を深め、支え合っていくことが大事とされ、条例が作られたこ
と。
非常に控えめな条例だが、障害者基本法の改正の中で地方自治体の責務とされて
いる部分への対応にもなっている。予算委員会や常任委員会でできる限りの審議
をいただきたい。虚心坦懐にご説明をしたい。議会にいらっしゃることができな
い障害者の方も大勢いるが、この議会で成立することを待ち望んでいる。十分に
ご審議いただいたうえで、ぜひ、成立をさせていただきたい。

小松実議員(共産)の質問
袖ヶ浦福祉センターなどを指定管理者として「民間にできることは民間に」との
知事のやり方は、条例の精神とは合わないのではないか。

知事答弁
指定管理者制度の目的は、公立施設の管理に民間のノウハウを活用し、住民サー
ビスの向上と効率的な運営を図ること。この条例は、本人の意に反して、入所施
設の生活を強いることを「なくすべき差別」として、サービス主体が官でもと民
でもと、障害者が差別を受けずにその人らしく地域で暮らせる社会を目指すもの。
指定管理者制度と、施設から地域への移行を目指す本条例とは、目的が違う。

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2006/03/09

千葉県障害者条例5

今回は、県議会の初日のやり取りを紹介しましょう。
(条例ニュース25号より)

-------------------------
県議会報告(3月7日、代表質問)
斎藤万祐議員(自由民主党)に対する知事答弁
《質問1》今回条例化することについては、そのスタートはいつだったのか、そ
して、どのような経緯があり、どういう手続を踏んだのか。


 平成16年7月に策定した第三次千葉県障害者計画に、条例の制定を検討する
ことが盛り込まれた。
 この点は16年の9月議会でご報告をした。
 続いて16年9月から12月にかけて県民から広く「差別に当たると思われる
事例」を募集した。17年1月、「障害者差別をなくすための研究会」を設置し
た。
 このことは、17年2月議会の委員会で部長が報告した。
 また、17年6月議会の知事あいさつで、障害者が差別を受けている実態を把
握して、条例や施策に反映させたいと報告した。
 17年8月には、研究会の中間報告書を、委員会の委員に配布して、、9月議
会の知事あいさつで報告した。
 17年12月には、全議員に報告書及び条例要綱案を配布して、パブリックコ
メントを実施した。その上で今議会に条例案を提案した。
 なお、16年9月議会以来、各議会において各会派からご質問をいただき答弁
をさせていただいてきた。

《質問2》なぜ、条例を制定するのか。条例化以外に他の方法はなかったのか。
それとも最初に条例ありきだったのか。

 千葉県障害者計画の中に「条例の制定を検討する」ことが盛り込まれたので、
県民から「差別と思われる事例」を募集したところ、障害者が、日常生活の様々
な場面で理不尽な思い、暮らしにくさを感じている実態が明らかになった。
 車いすの方、目の不自由な方、耳の不自由な方、精神障害の方などがいろいろ
不自由をしている。
 障害があってもその人らしく地域で暮らすには、社会の誤解や偏見を解いて、
理解を広げ、差別をなくすことが大事。
 差別の多くが気付かずに行われているので、単なる広報・啓発では不十分。差
別とは何かを県民の目に明らかにして、条例を提案することにした。
 障害者への差別をなくしていくためには、この条例だけでなく、県のあらゆる
施策の中に、こうした差別をなくす視点を盛りこんでいくことが重要だと考えて
いる。

《質問3》世界40カ国で禁止法が制定され、わが国にも国連の勧告がされてい
るが、今まで禁止法が制定されなかったのはどういう理由によるものと考えるか。

 平成16年、国会において障害者基本法が改正された。その内容は、1、基本
理念として、障害者に、障害を理由として差別をしてはならない、2、国及び地
方自治体の責務として、障害者に対する差別の防止を図る責務が規定された。
 提案議員から、この改正が障害者差別禁止法制定に向けた第一歩となると発言
があった。
 この改正は、我が国の法律で初めて障害者に対する差別の禁止を明示した点で
画期的だが、その理念を広く普及させ、機運を高めていく上で、地方自治体の役
割は重要。この条例案は、こうした役割を踏まえたもの。
 国は、ハートビル法、交通バリアフリー法や地方自治体の条例、国連における
障害者権利条約作成の議論等を踏まえて、検討している。

《再質問》平成8年に「福祉のまちづくり条例」を制定しているのに、なぜ別の
条例を作る必要があるのか、これで十分ではないか。 

 福祉のまちづくり条例は、この条例と共通した理念を持っている。
 ただ、施設等の整備を中心に規定しており、日常生活や社会生活の生きづらさ
とか暮らしにくさを解決する仕組みには、なっていない。
 この条例は、「なくすべき差別」を明らかにして、個別の事例を解決したり、
理解を深める仕組みを盛り込んだところが一つ前進をしたもの。


◎河野俊紀議員(民主党)に対する知事答弁
《質問1》条例の定義では、必要以上に障害者の範囲を拡大してしまうのではな
いか。

 障害者基本法の「障害者」の定義は、①発達障害などが抜けている、②障害は
個人の特徴だけでなく社会環境との相互作用から発生するという「社会モデル」
に沿っていないこと、といった問題がある。障害者自立支援法でも、「3年以内
の見直し」が明記されている。
 この条例の「障害」の定義は、「社会モデル」を踏まえ、現行法で抜け落ちて
いる障害者もカバーできる内容にした。①心身の疾病、変調、傷害その他がある
こと、②社会的環境において求められる能力、機能に達していないこと、③日常
生活や社会生活で継続的に制限を受ける状態にあること、3つの要件をすべて満
たすものを「障害」と定義している。「その他の事情」とは「疾病に‥‥心身の
損傷状態」、経済的事情等を含まない、障害者の範囲を必要以上に拡大するもの
ではない。

《質問2》なくすべき差別の規定は、広範囲のことが差別と受け取られ、対立と
緊張を生み出すのではないか。

 差別の多くが、気づかれずに行われているので、県民に「差別とは何か」を明
らかにするもの。これに該当する行為があった場合、罰則でなく、第三者の相談
員等が両方の言い分を聞き、意思疎通、問題解決を図る仕組み。
 なくすべき差別の内容を明らかにし、第三者が入ることで、当事者同士で解決
できなかった問題の解決が図られ、対立と緊張が緩和される。これが、一番大事
と言っていいと思う。 基本理念に、差別する側、される側という対立の関係を
克服して、すべての人が暮らしやすい社会をつくるとしており、この理念に沿っ
て、条例の運用を図っていきたい。

《質問3》差別をした者の負担が過重な場合は差別行為ではない、とする適用除
外条項は、条例の規範性?を損なうものではないか。公正な解決に支障に成るの
ではないか。

 適用除外条項は、障害者のニーズや事業者の規模や経営状況がさまざまで、差
別をなくすための負担も多様だから、各条項に該当する行為をすべて「なくすべ
き差別」と位置づけることは必ずしも適当でないため、規定した。
 ハートビル法、交通バリアフリー法など、事業者の負担を考慮し一定規模以下
の施設を適用除外している仕組みは数多くあり、条例の規範性を損なうものでは
ないと考える。
 実際の適用では、事例ごとにどの程度の負担になるのか、代替策はないかにつ
いて、第三者的な相談員とともに十分検討することが必要であり、これによって
公正な解決が可能であると考える。

《質問4》差別事案の解決のための手続は、関係法令との整合性や訴訟への対応
など、県民相互の権利擁護の観点から、どのように運用していくのか。

 解決のための手続きの関係法令との整合性は、法制審査や関係課との協議によ
り十分検討しており、問題ないと考えている。
 個別事案の解決は、地域相談員、指定機関、障害差別解消委員会が、双方の言
い分を十分聞いて、公正な立場から解決を図っていく。
 特に、勧告・公表は、誰が見てもやむを得ない極めて悪質なケースに限定して
客観的かつ公正、慎重に運用していく。
 このような運用で、県民の利害や権利の公正な調整を図っていく。

《質問5》勧告や公表について、知事に訴訟法による義務付け訴訟が提起され、
敗訴の場合は、勧告や公表をしなければならなくなるのではないか。

 義務付け訴訟が認められる要件は、2つある。
 ①処分がされないことで重大な損害のおそれがあることですが、障害者にとっ
て県が勧告・公表しないことにより、重大な損害が生じるケースは想定しにくい
と考えている。
 ②損害を避けるため他に適当な方法がないことですが、障害者の差別の問題は、
民事訴訟等で救済ができる等、他の適当な方法があると考えている。
 したがって、義務付け訴訟が提起されても訴訟要件を満たさず、県が敗訴する
ことは大変に考えにくく、適用除外や運用上の配慮の規定は、有効に機能するも
のと考えている。

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千葉県障害者条例4

とにかく毎回流れているニュースを、セレクトして流しましょう。

昨日のニュースです。続きにあります。

今回の条例案については下記でごらんください
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
★条例制定のために作った公式ホームページです。
http://web1.nazca.co.jp/chibasyougai/index.html
★応援団の大熊由紀子さんのホームページ
http://www.yuki-enishi.com/ は、「千葉ちいき発」の他、
「障害福祉政策激動の部屋」など情報満載(^-^)
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*

障障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例案(仮) ニュース24号         
                      
 なぜ 自民党、継続審議の方針?
 各党の代表質問が始まったばかりの7日、自民党県連・拡大政調会は「障害のある人もない人も暮らしやすい千葉県づくり条例」を継続審議とする方針を決めました。類似の「福祉のまちづくり条例」がすでにあるという理由です。しかし、この条例は主に高齢者を想定した施設のバリアフリー化を目的にしたものです。どうして、こんな唐突にこじつけのような理由を持ち出してくるのか理解に苦しみます。8日の代表質問では公明党は「条例づくりはきわめて重要」と力説しました。
 自民党県連の方針を報じた新聞記事の抜粋を紹介します。

2月議会成立困難?
 全国初の制定を目指し千葉県が2月議会に提案した「千葉県づくり条例(障害者条例)案」の取り扱いについて、自民党県連・拡大政調会は7日、同条例案を継続審議とする方針を決めた。「類似の福祉のまちづくり条例がすでにある」というのがその理由。当初は委員会での審議を踏まえて結論を出す予定だったが、議会前半で早々と結論を出した。委員会審議で条例案に注目が集まった後で、継続審議にすれば自民党が批判対象になるとの計算があるとみられる。堂本暁子知事が目指す2月議会での条例成立は困難な状況となった。

自民党は合理的な説明を
 障害者など県民が練り上げた画期的な障害者条例案は、最大会派、野党・自民党の壁に直面し、継続審議の方向となった。ただ、自民党の主張には一貫性がなく、議論の矛先も度々変わっている。条例案ではなく、「堂本憎し」の側面も見え隠れしている。「反対」の二文字を巧みに避けた自民党の対応は分かりにくく、県民への説明不足は否めない。党内には「内容が問題なのではない」との声もあり、知事との県政の主導権争いが根底にありそうだ。
 2月議会では唐突に「福祉のまちづくり条例」を持ち出した。しかし、「福祉条例」の存在を知ったのは党幹部でさえ数日前で、党内論議の形跡はない。県健康福祉政策課は「福祉条例は施設のバリアフリー化が目的で、差別解消を目指す障害者条例とはまったく違う」と言い切っており、「福祉条例」を理由とした継続審議は、議論の矛先を変えるためだとの見方が一般的だ。           (いずれも3月8日毎日新聞千葉版から抜粋)

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千葉県障害者条例3

 千葉県の障害者条例が、名前を変えた話は、2月の下旬にアップしました。その後、この条例は「障害のある人もない人も暮らしやすい千葉県づくり条例」として県議会に県から提案され、7日に代表質問が始まりました。
 

 ところが、これまで提案を「拙速」であると批判していた自民党が、条例案の継続審議を早々と政調会議で決定してしまったようです。これで、この条例案の今議会での成立は困難になりました。
 
 代表質問初日にはやばやと継続審議を決定したのには、正直驚きました。
しかしより以上に驚いたのは、「理由」です。新聞報道によれば、「類似の条例がすでにあるので、必要がないだろう」というものです。

私も今回の条例案を策定する研究会に参加しておりましたが、恥ずかしながら、すでに類似の条例が千葉県にあるとは想いがいたらず、検討することすらありませんでした。

県議会最大会派である責任政党の自民党の政調会長が代表質問と記者会見で、繰り返し類似の条例があることを理由にあげたのですから、なんらかの根拠があるものと思いましたので、さっそく県のホームページで類似していると指摘された「福祉のまちづくり条例」を読んでみました。しかし、どこが類似しているのか、私にはまったく理解できませんでした。

「福祉のまちづくり条例」と「障害のある人もない人もともに住みやすい千葉県づくり条例案」とが類似しているのはどこなのか、「だから」今回の条例案は必要がないのだと主張できる論理は、どこからでてくるのでしょうか。

少なくとも自民党は説明責任を果たしてほしい。

福祉のまちづくり条例については、こちら
http://www.pref.chiba.jp/syozoku/c_syafuku/bf/seibi/seibi.html

今回の条例案については下記でごらんください
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
★条例制定のために作った公式ホームページです。
http://web1.nazca.co.jp/chibasyougai/index.html
★応援団の大熊由紀子さんのホームページ
http://www.yuki-enishi.com/ は、「千葉ちいき発」の他、
「障害福祉政策激動の部屋」など情報満載(^-^)
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